君と描く物語１２

＃５７２ ページ22

見れば嬉しい事に 大吉の御籤…その内容は……

勉学:努力実る。信じて励め。

A｢…っ｣

嬉しい…っ…受験生にとって何よりの言葉だ…

そして無意識に見てしまったのが…

縁談:自分の気持ちに従えば吉。

A｢自分の気持ちに従う…｣ﾎﾞｿｯ

今は勿論 受験の事で精一杯だし、それに真っ直ぐ打ち込む事が何よりだと思う

…だけど受験が終わって落ち着いたら、向き合うべき事はまだあると分かっているから…

無一郎｢先輩、御籤どうだった？｣

A｢大吉だったよ。無一郎くんは？｣

無一郎｢僕は中吉｣

A｢そうなんだ！一番いいね！｣

無一郎｢え…大吉の方が良いでしょ？｣

A｢一般的には確かにそうだし、私も今年は受験控えてるから大吉が出て少し心が軽くなったけど

でも私 御籤引く時はいつも中吉狙いで行くの！

だって大吉って一番上の運勢でしょ？後はもう下がるしかないから…

でも中吉なら、まだ上が目指せる！そう思うと中吉って一番いいなって思うの｣ﾆｺｯ

無一郎｢…！…ふっ、確かに先輩の言う通りだね｣

A｢でしょ！｣

御籤なんて、ただの運試しだからって思う事もあるけど…自分の気持ち次第で 運だって味方をしてくれる時がある

受験も周りの人との関わり方も、運も味方にして頑張ろう

そう強く誓った年越し…


皆で迎えた新年は、また新たな世界へと私を連れて行ってくれる素敵な年になりますように



そして…年が明けて数日が経ち、あっという間に新学期は自由登校の期間へと移行し
いよいよ、受験に関わる大きな一回目の試験の日を迎えた

大丈夫、今までやってきた事を確認する様に
丁寧に問題を解いていけば結果は出るはずだから…


…そう…思うのに……

A｢…っ｣ﾄﾞｸﾝ…ﾄﾞｸﾝｯ


心臓の音は深く早く…それを意識するとより緊張が増してしまう

今朝 家族に見送ってもらう時までは、心配を掛けたくなくて何とか笑顔を作っていた表情も
家から距離が離れる度に段々と薄れて、今じゃ笑顔どころか顔が強ばる

これじゃ頭も上手く回らない…

そんな不安が拭いきれぬまま、ついに来てしまった試験会場となる大学の正門

今日はカナヲ達 他のメンバーも試験はあるけど会場が違う為、朝お互いの健闘を祈るメッセージを送り合っただけ…

何か…何か緊張を解す事……えーっと…っ


私があれこれと思考していると、数メートル先に見覚えのある人影が見えた…それは…

A｢え……何で、先生達が…？｣

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