君と描く物語１１

＃５３６ ページ36

好きだから嘘をつく

嘘をついてでも後押しをしたいから＿＿


送られる側にしか立った事の無い私には、全く頭に無かった発想だった

今まで何度か、禰豆子ちゃんは先生に似てる所があるって思ってた
勿論見た目の話じゃなくて、考え方や言葉の選び方が

その禰豆子ちゃんが、そう言ってくれた…


それに、以前の善逸くんの言葉


＿善逸｢……宇髄先生の音は、相変わらずなんだよね…
確かに少しだけ変わった気もするけど…それでも……

Aちゃんの事、気に掛けてる様な…大切に想ってる音してるからさ｣


…先生、あの時まだ…私の事を想っていてくれたんですか？
私の為に…嘘をついてくれたんでしょうか…

もしそうならば、私はその想いにちゃんと応えたい

応えるべきだ……

A｢…禰豆子ちゃん、ありがとう。私頑張るね｣

禰豆子｢…はい！応援してます、皆｣ﾆｺｯ


あの時の事を先生本人に実際どうだったかなんて、そんな事聞くのは野暮だと思うし
聞くべきではないとも思うから、これは私の中だけで留めておいた方がいい


でも…あの瞬間、絶望しか感じなかった時期にも
本当は先生からの愛情があったのかと…その可能性があったんだと分かっただけで、今はもう十分救われる

それに、今この関係になったって…先生は教師としてしっかり私の事を見てくれているから


先生に教わった事、先生と過ごしてきた時間で培った経験も芽生えた感情も…
全部が私の力に変わっていくように

私も、誰かのそんな存在になれるように頑張るよ



それに今は…

A｢お疲れ様でした。失礼します｣

禰豆子｢Aさん、お疲れ様です｣

炭治郎｢気を付けて帰ってね｣


ﾌﾞｰｯﾌﾞｰｯ

A｢…？｣ﾁﾗｯ

無一郎夏休みも毎日忙しそうだね。息抜きにお祭り行かない?

先生を忘れられない こんな私でもいいと…
それでも好きだと言ってくれる無一郎くんとも、しっかりと向き合わなくてはと思うから



ｶﾞﾗｧ…

A｢おはようございます、先生｣

天元｢おう、おはよう。今日も頑張ろうな｣

A｢はい！｣ﾆｺｯ

それに…ただの生徒と教師になったとしても、先生が私の恩師である事に変わりは無い


いつか胸を張って、私の目標が先生だって伝えられる様に

もう怖気付いたりしないから


何年かかるか分からない…何十年かもしれない

でももう絶対諦めたりしない

絶対……私は、先生みたいな先生になってみせるよ

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