君と描く物語１１

＃５３３ ページ33

A無一郎くんには、ちゃんと説明してあるから大丈夫だよー

梅ちゃんが揶揄って、無一郎くんが妬くわよ…なんて言うから
私は普段の調子で軽くそう返したつもりだったのに…

アオイ…え、意外な返答

梅ちょっとA…あんたもしかして…

メッセージ欄に返ってきた反応は、何だか予想外にザワついていて…

あれ？私何か変な事でも言ったかな…別に何も…


後日、梅ちゃんの専門学校入学決定祝いをする為に
いつもの四人でカラオケに集まる事になり

梅｢A、正直に話してご覧なさい｣

A｢話すって何を…｣

アオイ｢この前のメッセージの事じゃない？｣

カナヲ｢私も気になる…｣

A｢この前の…って…｣

梅｢時透の事よ！あんた、今まで私が同じ様な事言った時は
無一郎くんとはそんなんじゃ無いよ〜！とか何とか返してきてたのに…この前の返信は何よ！｣

カナヲ｢もしかして A…時透くんと……？｣

皆、カラオケに来たというのにマイクも持たず
部屋に入るなり私に視線を集めて尋問が始まる

実はまだ無一郎くんとの事、皆には報告してないんだよね…

でも、ここまで問い詰められたら言わざるを得ない

A｢…いや、何と言うか…実は、お試しでお付き合いしないかって言われて…｣

アオイ｢え…じゃあ、今二人 付き合ってるの！？｣

カナヲ｢…！｣

梅｢なんでそんな大事な事言わないのよ！｣

A｢だ…だって、何て言っていいのかわかんなくて…っ

お試しでお付き合い始めました…とか、何だか報告するには謎過ぎない…？｣

それに、私の気持ちはまだついて行けてなくて…
無一郎くんとの距離感だって今までと何ら代わり映えもせず

昼休みに一緒に過ごしたり、休日にメッセージのやり取りしたり…
仮のお付き合いが始まったからと言って、特にそれを実感する事もなかったから
何となく報告するにも気が乗らなくて…

梅｢……それでも言って欲しかった｣ﾑｯ

A｢ゔ…ごめんね…っ｣

アオイ｢こら、梅…そんなに膨れないの！Aの気持ちも分かってあげなさい

まだ実感無くて報告する気にならなかっただけで、ちゃんと気持ちが固まったら言ってくれてたんでしょ？｣

A｢勿論だよ…！｣

カナヲ｢そっか…でも良かった｣

梅｢もう…！今度何かあったらちゃんと言いなさいよ！？｣

見れば三人とも少しほっとした表情をしていて…
心配…してくれてたんだよね

A｢うん…！そうする｣

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