君と描く物語１０

＃４９９ ページ49

無一郎side

今朝、学校に着いて朝のホームルームまでの時間をぼーっと教室の後ろの方で過ごしていたら 携帯に何通かのメッセージが届いた

A先輩無一郎くん、おはよう!今日は登校してるかな?こっちはこれからバナナボートだよ

A先輩それから、昨日送りそびれてた水族館の写真も!無一郎くん達も来年 楽しみだねー

A先輩画像

そこに映っていたのは、大きなジンベイザメの写メと

無一郎｢…！？……こんなの聞いてないんですけど…///｣

いつも一緒にいる仲良しの三人と笑顔で映る、可愛い水着姿の先輩の写メだった


先輩、ちゃんと楽しめてるのかな

修学旅行は、もちろんあの人(・・・)も担任だから傍に居るんだろうから…

折角の大きな行事だし、先輩こういうの楽しみたいと思うから少し心配だったけど
文面からは暗い感じはないし大丈夫…なのかな……


先輩から別れたと話を聞いた時は本当に驚いた…
一瞬聞き間違いかと思ったし、そうじゃなきゃ都合のいい夢かと

けど、先輩の苦しそうな顔見て…現実なんだって
理解した……


きっと あの人なりに、考えがあってした事なんだろうって事は分かってるし…何を思ってした行動かっていうのも大体は読める

でも、悪いけど それをわかってたって僕が先輩から身を引くという選択肢は更々なくて

あの人が未だに先輩を想ってて、それでも自分の意思で先輩を突き放す決意をしたとしても……


僕は先輩を独りにしたりしない…


無一郎｢…先輩の声聞きたくなっちゃったな｣

一限の授業が終わってすぐ、僕は教室を出て人気の少ない渡り廊下まで移動して携帯を操作する

今は誰もいない三年の教室の階の窓を見上げながら、発信音の鳴る携帯を耳に当てた


もしかしたら、まだ海で遊んでて気付かないかもな…
また昼頃に改めて………-｢…もしもし…(A

無一郎｢…！良かった出てくれて｣

諦めかけた時に発信音が鳴り止み、先輩の声が耳に届き嬉しくなる

無一郎｢さっき写真見たよ。先輩あんなに可愛い水着着るなんて聞いてなかったから驚いたよ

もうバナナボートは乗って来たの？………あれ…先輩？｣

折角繋がった電話

なのに、もしもしと発した後 先輩の声が一切しない…相槌も返って来ない

それどころか…

-A｢…ｸﾞｽ…ごめ……無一郎く…｣

無一郎｢…！？先…輩…？｣


さっき来たメッセージとは異なる先輩の様子


何で…泣いて……っ

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