君と描く物語１０

＃４８４ ページ34

天元side


避けられてる…よな……

自分でそう仕向けたくせに、何を凹んでるんだ…
こうなるのを覚悟の上でAに別れを告げたんだろ

Aから俺の存在を切り離して、その上でしっかりとこれからの事を考え直して欲しかった

なのに……

教室で顔を合わせる度にそっぽ向かれ、部活では鉢合わせる事すら避けられて
あの日以来一度だってまともな会話も無いまま…

中庭で作業をしてるのは知ってる

そして、その場に時透が良く顔を出している事も……


時透の奴、俺達が別れた事知ってんのかな

たぶんAから聞いてるよな
あいつの事だから、Aの様子がおかしいのなんて一目見りゃ見抜くだろうし
それを黙って放っておく様な奴じゃない

って事は、あいつにとって今は
Aの彼氏の座を手に入れるに これ以上ないチャンスだろうし…


天元｢…くそ…っ…それだって分かってただろうが…！｣ｸﾞｯ

俺はあらゆる可能性を考えた上で、その手を離したんだ…分かってる…分かってるのに…！


＿｢甘露寺さんの事いいなって思ってて…っ…付き合ってくれませんか…！///｣


あんな所を目撃しちまったら、黙って見てられなかった…

駄目だって頭では理解してんのに、体が勝手に止めに入ってたんだ


天元｢…余裕無さすぎだろ…まじで情けねぇ……｣ﾎﾞｿｯ

もっと上手くやれよ、俺…

前は、教師だろうが生徒同士の恋愛に口出しなんか出来ねぇとか思ってた癖に
自分が惚れてる女が相手になった途端これかよ…


こんな中途半端な事やってちゃ、何の為にあの日Aを突き放したのかわかんなくなっちまうってのに…



それでも目が離せないんだ…ずっと傍で見てきたから

あの綺麗な栗色の髪も、俺を真っ直ぐに見つめる大きな瞳も…

＿A｢宇髄先生！｣

＿A｢先生のお陰です…ありがとうございます｣



＿A｢宇髄先生、大好きです…｣


天元｢…っ｣


A……A…っ


いつだったかAに言った事があった

何も思ってないわけじゃない、ただ大人だから隠すのが上手いだけだって

俺は今ちゃんと隠せてんのか？
Aに俺の思考がバレてやしないだろうか…


…大人(・・)ってのも、難しいもんだな

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