君と描く物語１０

＃４５３ ページ3

突然聞こえた声と後ろから包まれる様に感じた温もりに驚いて振り向くと、それは……

A｢無一郎くん…！｣

無一郎｢ただいま、先輩……はー…会いたかった｣

笑顔でただいまと言った直後、甘えた声をしながら私の首元に顔を埋める無一郎くん

梅｢おいこら…Aが何も言わないからって調子乗るんじゃないわよ

て言うか、この記事何よ！こんな話して、どういうつもりよ｣

無一郎｢どういうって…記者達に聞かれた事に素直に答えただけで…｣

A｢こんな将棋に関係ない様な事まで記事にされるのね…｣

無一郎｢何言ってるの先輩！関係無くないよ

確かに先輩に出逢うまでの僕なら同じ事言ってたかもしれないけど…

でも先輩と出逢って…先輩を好きになってからの今は
先輩の隣に堂々と立てる人間でいたいから、将棋も学校生活も頑張れてるんだよ

だから関係ない事じゃない…先輩を想う気持ちは、僕の原動力だからね

まぁ、でも少しは 宇髄先生(あの人)に対しての吹っかけのつもりでもあったんだけどね｣ﾆｺｯ

アオイ｢ははは……だと思ったわ…っ｣

無一郎｢だって大事な昇格試験の為とは言え、長期間先輩の元を離れなきゃならなかったし

その間に調子乗られても嫌だったからね

ちゃんと僕の存在を知らしめておかないとと思って｣

い…一体どこから突っ込めばいいのやら……

A｢あ…あの、無一郎くん…とりあえず離れて……｢無一郎！お前勝手に先に行くなよ！！｣ﾊﾞｼｯ！

無一郎｢痛…っ！｣

無一郎くんにそろそろ離して欲しいと言おうとした瞬間、誰かが勢い良く無一郎くんの後頭部を小突いた

たぶん、無一郎くんにこんな事出来るのは…

無一郎｢痛いよ、兄さん…！｣

有一郎｢何も言わずに急に何処かに走ってくからだろう！？

学校着いたらまず職員室に来いって言われてるんだから、寄り道せずにさっさと行くぞ！｣

やっぱり有一郎くんだ…
いつもは無一郎くんが私に会いに来てくれるから、二人が揃っている所 久々に見た

無一郎｢ごめんね、先輩…ちょっと兄さんと職員室に報告に行かなきゃいけなくて

話し足りないから放課後会いに行ってもいい？今日バイトの日？｣

A｢ううん、部活の日だよ。そしたら美術室でお話しようか｣

無一郎｢やった！じゃあまた後で｣

無一郎くんが私に手を振りながら職員室に足を向けた時…

有一郎｢…｣ｼﾞ…ｯ

A｢…？｣

有一郎｢…｣ﾍｺｯ

…今、有一郎くん何か言いた気にこっちを見てた？

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