＃３２ ページ32
天元｢つまり…もっと頼っていいって言いたいんだ。周りの奴とか…俺とかに｣
真っ直ぐ私を見て真剣にそう言ってくれる宇髄先生の目は、いつもより少しだけ違って見えて…
上手く言えないけど、我慢するのが癖になっていた私に“ちゃんと弱音も吐いていいんだよ“と伝えてくれている様だった
でも…
A｢私、姉もいますけど下にも何人か弟がいて…家の中は弟達の声でいつも賑やかで…
喧嘩の仲裁したりとか、小さい頃はねだられると自分の分のおもちゃやお菓子も譲ってあげたり
そういう所から自然とこんな風になっちゃって…だから苦ではないと言うか…
何よりも、我儘を言う事や甘え方がわからないって言うのが正しいのかもしれません…｣
私が我慢すれば上手く行く事は、そうするのが一番なんだって思ってた
小さい頃からそんなに何かを強く欲したり、思い通りに行かないと悔しくてたまらないなんて事はなくて…
これが私なんだって、自己完結すらしていた程で…
だから今回みたいに体調が悪くても、我慢した事はこれが初めてではない
天元｢…Aの周りを想う気持ちもわかってる
いつも心の中で、迷惑かけずに自分一人でなんとかしたいって思ってんだろ？それはAの優しさで、いい所の一つでもある
そりゃ迷惑かけずに一人でこなしていくのは立派だけど、そうじゃなくていい時だって沢山ある
Aの周りには、Aを支えたいと思ってる…Aから頼られるのを待ってる奴が沢山いる
だから頼る事が迷惑なんて思わなくていいんだ
慣れないから出来ないなら、これから少しずつでも慣れていけばいいんだ｣
A｢…そう、なんでしょうか…｣
本当に、そんな風に思ってくれてる人いるのかな…
天元｢少なくとも、俺はAの支えになりたいって思ってるよ｣
A｢…っ｣
＿＿支えになりたい
そう言ってくれた先生の表情は今まで見てきた中で一番優しくて、熱のせいか涙が出そうになった
相変わらず重なったままの手は離れる事なく、ずっと私に安心できる温もりをくれる
あぁ…私、また先生に救われた
先生のくれる言葉は、どれも私の背中を優しく押してくれる
前に進めるように、先生の言葉が道を照らしてくれる
A｢先生、ありがとうございます。私、できるかわからないですけど…少しずつでもちゃんと頼れる様になりたい｣
天元｢ん。待ってるからな…｣
A｢はい…！｣
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作者名：P | 作成日時：2021年1月6日 2時
