そのままの君が好き【短編集】 (ページ13)

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『ありがとう。元気出た』

そう言って立ち上がろうとしたら、晋一郎さんが私の腕を掴んでソファへと引き戻す。

神尾「俺の充電がまだ終わってない」

『え？！』

今度は晋一郎さんから抱きしめられた。私を気遣ってくれているのか、それとも晋一郎さんも何かあったのか。判断がつかなくて、その表情を見ようともぞもぞ動いてるいると

神尾「いいからじっとしてて」

と優しい声が降ってくる。

『はい』

私はそっと晋一郎さんの背中に腕を回し、再び胸に顔を埋めた。

神尾「何があったか聞いてもいい？」

私は黙って頷いて、今日の出来事を晋一郎さんに話し始める。

『仕事でミスしちゃってね・・・』

晋一郎さんは時折「うんうん」と相槌を打ちながら、最後まで話の腰を折らずに聞いてくれた。

『もっとしっかりしないとなぁーって』

神尾「十分なんじゃない？」

『そんなことないよ』

神尾「Aの仕事のことはわからないけど。普段しっかりやってるから、こういうとき、周りの人が助けてくれるんだと思う」

『そうかな』

神尾「そうだよ。大丈夫」

ぽわん、と心があったかくなる。

『晋一郎さんに大丈夫って言われたら、大丈夫な気がしてきた』

にへら、と笑って晋一郎さんを見上げた。
そう、私はきっと大丈夫だ。これでまた明日からも頑張れる。