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-文房具屋-
古びた昔ながらの文房具屋。
ペンを選ぶあたしを呆れてみている千世が近づいてくる。
A「・・・・・・?」
一つだけ、値札のついてない万年筆を発見した。
そして、吸い取られるように手にとり、蓋を開ける。
千世「万年筆?渋すぎじゃない?」
A「・・・・・・」
ペン先が鈍く輝いてる。
その万年筆を持ってレジへ行く。
A「これ、いくらですか?」
店主「あれ、どこにあった?ごめんねぇ、これ売り物じゃないの」
A「あ、そうなんですね」
店主「珍しいわね、高校生が万年筆なんて」
千世「この子小説書いてるんですけど、今どき手書きなんですよ」
店主「え!もしかして古都瀬高のAさん!?」
A「え、なんで知ってるんですか?」
店主「有名よ!将来の大作家先生になるかもしれないんだから!まさかこの街からねぇ」
A「あ、どうも」
店主「応援してるからね!あ、これよかったら使って!」
そう言って店主は万年筆を渡してくれた。
A「え・・・・・・いいんですか?」
店主「いいのいいの。先祖代々受け継がれてる万年筆らしいけどね、ココだけの話お父さんそれ耳かきに使ってるだけなんだから」
千世「・・・・・・」
店主「あなたに使われた方が、きっとペンも喜ぶから」
A「・・・・・・」
-店の外-
千世「本気でそれ使う気?」
あたしは紙袋から万年筆を取り出しじっと見つめた。
そして、来た道を引き返す。
千世「ちょっと!A?どこいくの?」
A「ごめん千世!先に帰ってて!」
千世「・・・・・・もう」
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作者名:Cornet | 作成日時:2021年11月6日 1時