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-文芸部部室-
部長を見て、そんなことを考える。
有薫「それで何年生なんですか？名前は？」
A「西畑大吾くん。2年生って言ってました」
絢子「！！」
晴留「2年にそんな人いたっけ？」
A「転校生で、今日から登校なんだって」
絢子「くん？くんって言った？」
A「はい」
晴留「イケメンだった？」
A「さぁ、どうだろ」
絢子「残念だけど、入部はお断りして」
A「！？」
有薫「え！どうしてですか？」
絢子「文芸部は、男子禁制だから」
晴留「え初耳なんだけど。入ってこなかっただけじゃなくて？」
絢子「かつてはね、男子部員もいたそうなの。本当に男女仲が良かったって。夏は海で、冬は雪山にこもって執筆合宿を行い、文章を磨きあった」
晴留「それ、遊んでるだけじゃね？」
絢子「でも楽しいときは長くは続かなかった。2人の女の子が同じ男子部員に･･････恋をしてしまったの」
A「･･････」
絢子「親友だった2人は絶交し、部内の雰囲気はみるみる悪くなっていった。部員は1人、また1人と辞めていき、文芸部は廃部の危機に陥った」
有薫「それでどうなったんですか？」
絢子「原因を作った男子部員を辞めさせた」
晴留「ひどっ」
絢子「その教訓を元に、以降文芸部は男子の入部を禁じたの」
晴留「極端すぎない？」
絢子「人はね、奪い合う生き物なの。だから文芸部は、求めることをやめた。求めなければ、奪われることもない」
有薫「永世中立国。スイスみたいですね」
晴留「逃げただけじゃん」
絢子「？？」
晴留「心が弾む時間もときめく経験も捨てたんだよその人たちは。傷つくのが怖いから、世界を閉ざしただけの臆病者じゃん」
有薫「鎖国。徳川幕府ですね」
絢子「部を守るためにはきっと仕方なかったことなのよ」
晴留「部のためだったら何してもいいの！？」
絢子「それは･･････」
すると部屋をノックする音。
ドアが開くと西畑大吾の姿が。
手には紙袋を持っている。
大吾「失礼しまーす」
A「！！」
大吾「新入部員の西畑大吾です」
あたしたちは顔を見合わせた。
大吾「？？俺のこと話してくれた？」
A「あ、えっと」
絢子「ごめんなさい、その件なんだけど―」
大吾「あ、みなさん甘いもの好きですか？」
晴留「？？え、まぁ、好きだけど」
大吾「良かったぁ〜」
西畑大吾は部室に入ってくる。
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作者名：Cornet | 作成日時：2021年11月6日 1時
