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職場の先輩である加藤さんは、私が肩にかけていたタオルをとって、「ドライヤーかけてやるから」って私を洗面台に連れて行った。
だから！距離感！
私の濡れた髪に触れようとする加藤さんと鏡越しに目が合った。
にこにこしてるけど、どういう感情？
「……自分でできるのに」
「ふふ、反抗期！それも思春期のやつじゃなくてもっとちっちゃい子の！イヤイヤ期？」
「どうせイヤイヤ期の子どもですよ！もう！ほっといてくれたらいいでしょ！」
「……無理なんじゃない？」
加藤さんはそう言ってドライヤーのスイッチを付けた。
何が無理なのかよくわからないんだけど？
わからないことがいっぱいすぎて、敬語の使い方をもはや咄嗟に忘れてしまう。
加藤さんはタメ口きくといつも可笑しそうに笑ってくれるけど。
世にも雑に乾かしてくれたあと、加藤さんはドライヤーのスイッチを切った。
「はいおわり、誰かの髪乾かすのなんか初めてだわ」
「……だから！自分でできるからほっといてくれたらいいのに」
「だから無理なんだって」
「何が！」
鏡越しに加藤さんを睨みつけたら、加藤さんはこっちを見ずに私の髪に手ぐしを通してた。
「……可愛くて仕方ないから」
ぼそっと言ったけど、衝撃すぎて動けない。
「……あ、また枝毛あった」
同じテンションと抑揚でそう言われて、聞き返せなかった。
何が可愛いのか？枝毛？
その後加藤さんが作ってくれたスープを食べた。中に少しお米が入ってて、おなかいっぱいになった。
お薬飲んだらまた眠くなる。
いっぱい寝たはずなのにな。
私がうとうとしながらベッドに背を預けて座ってる間、加藤さんはキッチンを片付けて、脱衣場の方で音をさせたあとシャワーの水音をさせてた。
なんでおそうじしてるのかなと思ってそのままうとうとしてたら着替えた加藤さんがほかほかになって戻ってきた。
「……まさか」
「うん？」
「我が家でシャワーを浴びました？」
「はーあ、寝よっかな」
「はい！わざわざおいでいただきすみませんでした！さようなら、また明日」
「はいどうも」
加藤さんはそう言って私の布団に入っていくんだけど、どこから何をどうつっこんだらいいのかわからない。
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ぺんぎん(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます。お話の中の一人一人が丁寧に描かれていて、ほんとうにほんとうに素敵です。これからも応援しています。 (2020年3月4日 1時) (
レス) id: f15aa4c564 (このIDを非表示/違反報告)
すもも - 完結おめでとうございます！いつもこっそり拝見しておりました(笑)じぇにさんの作品はどれもひらがなと漢字の使い分けが絶妙で、ニュアンスがとっても丁寧に伝わってくるところが大好きです。新たなじぇにさんの作品に出会える事を願いつつしばらくこの作品に浸ります。 (2020年1月28日 23時) (レス) id: 7bc6073c03 (このIDを非表示/違反報告)
もか - いつも楽しく拝読しております！主人公ちゃんの不安や怖がりな部分と、それでも弱いだけだったり気持ちが揺らいでるわけではない芯の強い部分がようやく報われたような気がして、このまま幸せになってほしいと感じました、、これからも楽しみにしています！ (2019年12月28日 0時) (レス) id: 729ed0c340 (このIDを非表示/違反報告)
あやぽにょ - やっとですね（；＿；）よかった、、、！ (2019年12月18日 1時) (レス) id: f2bcd42dc1 (このIDを非表示/違反報告)
yume.(プロフ) - 初めまして、いつも楽しく読ませて頂いてます！増田くんのストーリーから読んでいて、この物語は主人公ちゃんの名前を若菜にして読んでるのですが、加藤さんの幼馴染の名前を自分にしたくて名前の設定を増やして貰えませんでしょうか、、、？ (2019年12月15日 19時) (レス) id: 28edb9fce5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：◯じぇにー◯
| 作成日時：2019年11月5日 21時
