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暇なカウンターでしばらく恋の話をしたあと、彼女は「いつ言おうかと思ってたんだけど、たぶん私たち同い年だよ。敬語やめよう」って笑った。
私がこの前、ベンチにいた加藤さんをスルーして帰った時「ケンカしてたの？」と解釈した彼女のまっすぐな優しさよ。
本当に自分が恥ずかしかった。
誰も奪わないのにちっぽけな庭をとげとげいっぱいにしてたな。
自分を守るふりをして、お花畑の景観を損ねていたのは心の隅にいたすねた気持ち。
先に勤務を終えたであろう加藤さんが、事務室に戻ろうと私たちのいるカウンターのそばを通る。
いつもなら、知らんぷりするところだったけど、目が合ったからちょっとだけ手を振ってみた。隣にいたバイトの子も、にこにこして一緒になって手を振った。
加藤さんはちょっとびっくりしたあと、嬉しそうににっこりした。
勤務がおわって帰る頃、やっぱり加藤さんは外で私を待っていた。
鍵を持ってるんだから、どちらにしろ先に帰ればいいのにちゃんと待ってくれている。
加藤さんは優しい。
加藤さんから感じるのは、あたたかくてやわらかい優しさ。
誰しもの在り方を、それでいいよって許してくれて認めてくれる優しさ。
それはあまくゆるいようで、加藤さん自身がひとりできちんと立っていて、他人の在り方で芯がぶれないからできるのだ。
強いから、優しいんだと思う。
自分にとって大切な何かを守れるだけの力がある人はきっと、強いんだ。
そういうところが、すきなところ。
「おつかれ」
「お待たせしてすみません」
「腹減った。何作る？」
「……カレーが食べたいな」
「めずらしい、即答。じゃあカレーにしよっか」
こうやって、すきな人と一緒に肩を並べて帰りながら、帰る先は当然のように一緒で、これから一緒にごはんを作って食べられるしあわせ。
しあわせな時間を、大切なお花畑を、自分の力でいつも守ること。
だれかの大切なものを傷つけずに認め合うこと。
これは戦いなのだ。はっきりと。
敵はいつだって自分の心の隅にいて、何かの拍子にお花畑を壊してしまう。
素敵なお花畑でゆるゆると横になって「しあわせだなぁ」っていつでもつぶやくための戦い。
君とめくる次のページを、かならず、しあわせな結末にできますように。
やわらかい手のひらを、つよく握った。
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ぺんぎん(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます。お話の中の一人一人が丁寧に描かれていて、ほんとうにほんとうに素敵です。これからも応援しています。 (2020年3月4日 1時) (
レス) id: f15aa4c564 (このIDを非表示/違反報告)
すもも - 完結おめでとうございます！いつもこっそり拝見しておりました(笑)じぇにさんの作品はどれもひらがなと漢字の使い分けが絶妙で、ニュアンスがとっても丁寧に伝わってくるところが大好きです。新たなじぇにさんの作品に出会える事を願いつつしばらくこの作品に浸ります。 (2020年1月28日 23時) (レス) id: 7bc6073c03 (このIDを非表示/違反報告)
もか - いつも楽しく拝読しております！主人公ちゃんの不安や怖がりな部分と、それでも弱いだけだったり気持ちが揺らいでるわけではない芯の強い部分がようやく報われたような気がして、このまま幸せになってほしいと感じました、、これからも楽しみにしています！ (2019年12月28日 0時) (レス) id: 729ed0c340 (このIDを非表示/違反報告)
あやぽにょ - やっとですね（；＿；）よかった、、、！ (2019年12月18日 1時) (レス) id: f2bcd42dc1 (このIDを非表示/違反報告)
yume.(プロフ) - 初めまして、いつも楽しく読ませて頂いてます！増田くんのストーリーから読んでいて、この物語は主人公ちゃんの名前を若菜にして読んでるのですが、加藤さんの幼馴染の名前を自分にしたくて名前の設定を増やして貰えませんでしょうか、、、？ (2019年12月15日 19時) (レス) id: 28edb9fce5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：◯じぇにー◯
| 作成日時：2019年11月5日 21時
