赤と白 ページ33
そのままじーっと見てたら、加藤さんが目を閉じたまま「俺だって我慢してんだから、あんまり見てると襲うよ？」って言った。
でももう一回したかった、って思って加藤さんの唇に指でちょっと触れたら、「も〜」って言いながらもう１回キスしてくれた。
軽く触れて離れたあと、再び押し当てられた唇から舌が差し入れられて、ちょっとびっくりする。
少し長いキスの後、加藤さんは半分体を起こして、左手で髪を撫でた。
「……襲うよって言ってんのに煽って？結局びっくりしてんの？」
「……だって」
「出た、だって」
「……もう１回、って思っちゃったから」
正直に言ったら加藤さんは笑って、掠れた声で甘く囁いた。
「じゃあもう１回する？たぶん１回どころじゃ済まないけど」
返事をする前に、加藤さんが私に覆い被さるみたいに長いキスをした。
初めて見る加藤さんの表情が、涙で滲む。
悲しくないのに溢れる涙はもう生理的なもので、体の勝手な反応に任せることにする。
もどかしそうに服の中に入ってきた、柔らかい手のひらが熱い。
身を捩って逃げ腰になると、またキスが降ってくるけど、さっきより性急な気がして苦しくなる。
加藤さんはすごく優しく私に触れた。
間接照明でぼんやり照らされてるから、触れるたびに私の反応を見てるのがなんとなくわかって恥ずかしい。
つい息ができなくなっちゃう私を、加藤さんが優しく笑うけど、あんまり見ないでほしい。
私が力抜けちゃうところと、力入っちゃうところを探り当てて、指先が追い詰めていく。
加藤さんの右手が、私の手を繋いでくれる。
指を絡めて、シーツに縫い止めるみたいに。
めくったページの先は、あたたかいオレンジみたいな赤と、光が差すみたいな白。
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ぺんぎん(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます。お話の中の一人一人が丁寧に描かれていて、ほんとうにほんとうに素敵です。これからも応援しています。 (2020年3月4日 1時) (
レス) id: f15aa4c564 (このIDを非表示/違反報告)
すもも - 完結おめでとうございます！いつもこっそり拝見しておりました(笑)じぇにさんの作品はどれもひらがなと漢字の使い分けが絶妙で、ニュアンスがとっても丁寧に伝わってくるところが大好きです。新たなじぇにさんの作品に出会える事を願いつつしばらくこの作品に浸ります。 (2020年1月28日 23時) (レス) id: 7bc6073c03 (このIDを非表示/違反報告)
もか - いつも楽しく拝読しております！主人公ちゃんの不安や怖がりな部分と、それでも弱いだけだったり気持ちが揺らいでるわけではない芯の強い部分がようやく報われたような気がして、このまま幸せになってほしいと感じました、、これからも楽しみにしています！ (2019年12月28日 0時) (レス) id: 729ed0c340 (このIDを非表示/違反報告)
あやぽにょ - やっとですね（；＿；）よかった、、、！ (2019年12月18日 1時) (レス) id: f2bcd42dc1 (このIDを非表示/違反報告)
yume.(プロフ) - 初めまして、いつも楽しく読ませて頂いてます！増田くんのストーリーから読んでいて、この物語は主人公ちゃんの名前を若菜にして読んでるのですが、加藤さんの幼馴染の名前を自分にしたくて名前の設定を増やして貰えませんでしょうか、、、？ (2019年12月15日 19時) (レス) id: 28edb9fce5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：◯じぇにー◯
| 作成日時：2019年11月5日 21時
