11 ページ11
翌日、休み時間に一人、本を読んでいた彩希の前にどんと一枚の紙が置かれた。
「なんですか、これは…?」
「凛太郎のチラシ!私なりに作ってみたんだ!」
どうやら、昨日彼女が言っていた言葉は本気だったらしい。しかし彼女が作ってきたという一枚の紙には、子猫の写真がたくさん貼り付けてあるだけであった。
「写真多くないですか…?」
「凛太郎の写真、めちゃめちゃ撮ったんだ。可愛い写真選んでたらキリがなくって。全部載っけちゃった!」
悪びれもなく楽しそうな彼女に、彩希は小さくため息をついた。
「これじゃ何も伝わりません。画像ばかりのチラシなんて、誰も受け取ってくれませんよ」
「えっ、じゃあ、どうしたらいいのさ…」
「まずはミーシャの特徴を細かく書くべきです。"大人しい"とか、"人懐っこい"とか。具体的なことを書くと、それに興味を持ってくれる人が現れます」
なるほどと目を丸くさせながら話を聞く奈々を前に、彩希はペンケースから赤ペンを取り出し、彼女が作ってきたチラシに添削を始めた。
「こんな感じで作り直してみてください」
「え、私がやるの?」
「だってミーシャの画像、たくさん持ってるんですよね?」
「一緒に作ってよ!ね?」
目を輝かせながら頼み込む彼女の威圧感に圧倒され、彩希は渋々承諾をした。
11人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:神楽リュウ | 作成日時:2019年10月17日 7時