君にこの気持ち伝えたくて (ページ43)

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S)夏祭りの話ページ43

ガチャーー…。

全てがスローモーションのように感じる。

みっちゃんによってゆっくりと開かれたドア。

紫耀「こんにちは」

俺は、丁寧に頭を下げた。

み「いらっしゃい。来てくれてありがとう…」

リビングに通されて

椅子に座るように促されると

棚に飾ってある写真立てに目がいった。

左から順にAの成長が見れる。

赤ちゃんの頃、七五三、ピアノの発表会など…

変わらないAの笑顔溢れる写真。

み「はい、どうぞ」

紫耀「ありがとうございます」

みっちゃんは、二つ分の飲み物を持ってくると

俺とは反対側へと腰を下ろした。

み「どこから話そうか…」

紫耀「教えてください…全部。」

み「わかったわ…。あのね…」

ゆっくりと話始めたのは

夏祭りの日の事だった。

み「楽しみで楽しみで仕方ない感じだった」

紫耀「……。」

み「可愛くお洒落して…」

【A「ママ、変な所ない？この髪型おかしくない？」】

【A「紫耀君に可愛く思ってもらえるかな？」】

【A「紫耀君にね、気持ち伝えようと思う。」】

み「なのに……数時間後に見た娘の姿は変わり果ててた…」

紫耀「……」

み「轢き逃げの事故だった。」

紫耀「轢き逃げ……」

み「轢き逃げした挙句、その運転手は飲酒運転だった。」

み「別の車がドライブレコーダーをすぐに提示してくれて…轢き逃げ犯をすぐに捕まえれたけど…Aは…」

みっちゃんは、目を閉じ

唇を震わせた。

思い出すだけで

凄く辛い話をさせてしまっている。

紫耀「ごめんなさい…」

この謝罪はみっちゃんに。

自分の事しか考えていなかった。

信じられなくて

ただ、この真相を知りたかった。

でも、家族にとっては

一番辛い事。

聞いといて罪悪感にかられる。

痛かったよな…

何で、

何でAがこんな目にあわなきゃ

ならんかったん？

紫耀「ごめん…」

ごめん。

何も知らずに

ごめんな…A…