君にこの気持ち伝えたくて (ページ19)

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紫耀くん家ページ19

通された部屋は

紫耀君らしい部屋で

私がキョロキョロと

部屋を見渡していたから

紫耀「あんま見んな。

ほら、座って？」

ソファに誘導され

私は大人しくそこへ腰を下ろした。

高校の頃はよく

お互いの実家を行き来してたけど

初めて入るこの家は

見慣れた実家の部屋とは違って

凄くお洒落に整理されていた。

A「一人、暮らしだよね？」

紫耀「うん。最近、引っ越してきた」

A「そっか」

紫耀「つか、Aは何で俺の家知ってたの？

連絡取ってなかったし、引越した事

言ってないよね？」

そう言った紫耀君は

冷蔵庫を開け

何かを物色中で

A「えっとね…

お母さんが言ってたの」

紫耀「みっちゃんが？」

みっちゃんとは、私のお母さん、
美智子の事だ。

紫耀君は昔からみっちゃん呼びをする。

お母さんは「おばさん」って

言われるのが嫌なんだとか…。

A「うん。「紫耀、一人暮らしするんだって」って」

A「多分、紫耀君のママがうちの親に言ったんだと思う。

紫耀君ママ、心配だったんじゃないかな？

紫耀君が一人暮らしするの」

A「お母さん、大体の住所は言ってたんけど、何階とかまで詳しく話さなかったから…

一か八かで、エントランスで待ってみたの」

紫耀「そうだったんだ…

ごめんな」

パタンッーーと

冷蔵庫を閉めた紫耀君は

私の方を向き

突然謝ってきて

A「へ？何が？」

今の会話で

謝る要素が一つもないから

ん？って首を傾げると

紫耀「何日も、会いに来てくれたのに

何回も素通りしてさ…」

「本当、悪かった」

最後にそう付け足した紫耀君。

A「気にしてないよ？

今、こうして話せてるだけで

私は嬉しいから」

そう言ったら

紫耀君、ニコって笑ってくれて

ドキッて

その笑顔に

心臓が飛び跳ねた気がした。