君にこの気持ち伝えたくて (ページ11)

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一方通行ページ11

噂を耳にした時は

信じられなかったし

信じたくもなかった。

けど、ある日

見てしまったんだ。

それは

私と竜が、いつものように

一緒に帰っていた時の事だった。

紫耀君が

彼女らしき小柄な女の子と

手を繋いで歩く場面を。

後ろ姿ですら

羨ましく思うほど

2人は凄くお似合いで

その彼女に

目一杯の笑顔を向ける

紫耀君の横顔が

凄く幸せそうで…

何でって

何で隣にいるのが

私じゃないの？って

悔しくて

こんな事になるぐらいなら

私だって紫耀君に

気持ち伝えれば良かったって

そうすれば

紫耀君の隣にいて

紫耀君の手を握っていたのは

もしかしたら

もしかしたら…

1ミリの可能性だったとしても

私だったかもしれないって

そう思ってしまった自分がいて

竜の胸板を

何度も何度も叩いて

泣き噦る私は

私を想ってくれている竜に

酷いことしてた…。

竜は

私の気持ちに気付いてたみたいで

竜「ごめんな…」

そうポツリと言葉にした竜は

黙って殴られ続けてた。

ごめん、を言うのは

私の方だったのに…

その時の竜の顔

唇をぎゅっと閉じて

今までに見た事のないくらい

悲しい顔してた。

そんな交わる事のない

一方通行だった

私達の思いは

行く宛を

彷徨っていた。