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伏黒恵の退院手続きが終わるのを後ろの待合室で待ちながら、私は自分の膝の上の拳を眺めていた。
五条先生が……
「ッ！」
慌てて自分の口を押えて、そこに触れた柔らかいものの感覚を思い出して……
「〜〜！！」
なんで、なんで！？
なんで五条先生、私に……
「なんで千尋が怒ってんだよ」
伏黒恵が馬鹿にしたように私を見下ろしていた。
手には書類の入った封筒が握られている。
どうやら手続きが終わったようだった。
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「怒ってない」
「怒ってる」
「怒ってない！」
「……怒ってない奴はんな声荒げねえよ」
あ？と千尋が俺を睨んだ。
その目が少しだけ赤かった。
……あと、頬も。
何かあったか、なんて聞くのは野蛮だとは分かっている。
だけれど、五条先生と千尋が教師と生徒だけの関係じゃなさげなのも分かっている。
……最悪だ。
杉沢火葬場についても、千尋は俺の半歩後ろを黙ってついてくるだけ。
そして、虎杖と五条先生が先のベンチに腰かけて話しているのを見て、千尋が慌てて近くの茂みに隠れた。俺を掴んで。
「おい、何してんだよ」
「ちょ、だ、し、ん！」
「……(なんだよ)」
もごもごと喋る千尋が自身の口に人差し指を当てる。
おそらく黙れか静かにしろか言いたかったんだろう。
なんだよ。いつもはあんなクール装ってんじゃねーか。なんで五条先生になんかに振り回されてんだコイツは。
「あ、」
「あ？」
千尋の目線の先。
五条先生が宿儺の指を虎杖に渡しているところだった。
それを虎杖が見つめて、飲み込んだ。
「！」
途端に濃くなる宿儺の気配に、千尋を背に隠した。
2本目、1/10か。
五条先生は試してるんだ。
……どうなる？
虎杖の顔に一瞬浮かんだ呪印が徐々に薄まって、虎杖が酷く顔を歪めて舌を突き出した。
無事に、取り込んだようだった。
ったく、無駄に緊張させやがって。
振り返れば、両膝を抱えてうずくまる千尋がいた。
行くぞ、と千尋の手を掴んで立たせようとするが、千尋がそれを拒んだ。
「千尋」
「……、」
「おい……？」
「＿＿＿ぁ、ごめ、何でも」
そういう千尋の顔は真っ青で、小さな唇がふるふると小刻みに震えていた。
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早瀬モモコ(プロフ) - リリリンゴさん» リリリンゴさんコメントありがとうございます！とても励みになります！更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！！ (2021年10月16日 21時) (
レス) id: 8442258d5b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか？できれば五条悟オチでお願い出来ますか？続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月13日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
リリリンゴ - シリーズ最初から読みました！面白いです！更新頑張ってください！応援してます！ (2021年10月13日 2時) (レス) @page6 id: 5191a43a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：早瀬モモコ | 作成日時：2021年10月12日 1時
