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前にも、同じようなこと言われたな。

彼女と、千尋Aという術師と初めて会った時。
年明けの、雪降る1月。
二千の呪霊を囲い連れて、今にも死んでしまいそうな、真っ青な顔して彼女は僕の前に立ちはだかった。






「やめて……なんで、この子たちは悪くないのにっ!」





息を飲んだ。
彼女は幼いながら、とても美しかった。
完璧な容姿だけじゃない。
強さを秘めた澄んだ瞳が、魅惑(うつく)しい藍色が。













「五条先生が、私に生きろと言ってくれた。私に生きる道を示してくれた。
夜蛾学長は教えてくれなかったけど、虎杖悠仁と同じように私を完全秘匿の死刑から救ってくれたのも五条先生なんでしょ?

だから……私はそれに応えたいんです。
強くなって、五条先生に認めてもらいたいんです。
だけど、認めてもらうために自分を殺すつもりも、媚びるつもりもありません。」






また僕の下で、強く、強く輝いている。







「でも、」








見下ろす僕を真っ直ぐに射止める揺るがなかった藍色が、大きくブレて震えた。






「私のせいで、人が傷ついた。
私が迷って悩んで怯えている間に、救えたはずの人を救えなかった。
目の前の呪いを、祓えなかった。

ねえ、五条先生……教えてください。

私、間違ってますか?」









Aが、泣きそうな顔で僕を見上げた。
久しぶりに見た。
前はよく見ていた顔だった。

人を魅せる凛とした強さの中に脆さを持った彼女を、僕に甘えるように、悟、と呼ぶ彼女を突き放したのは、僕だ。
Aの中のその脆弱さを打ち消す力を、彼女に求めて僕は。








「Aがどう思っていようが、それは呪いには関係ない。奴らは人間を簡単に殺す。
それはA。君も例外じゃないんだ」

「……。」












かつての親友が、俺に言った。











君は五条悟だから最強なのか?最強だから五条悟なのか?












彼がいなくなって、教師の道に立った。
非術師(弱い奴等)の盾になって死んでいく術師。その尻拭いをさせられる日々。
たくさんの理不尽の中で、なんとなく彼の言ったことが分かったような気がした。

彼女は、千尋Aという人間には。
呪霊ですら、人々の呪い(願い)ですら見過ごせない。


だけれどAの信条がどうであれ、それは彼女の術式に触れてこそ全うされるもの。
今の彼女にそれらを受け止められるだけの強い精神も、肉体もない。

彼女は、弱すぎる。







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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 伏黒恵   
作品ジャンル:アニメ
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早瀬モモコ(プロフ) - リリリンゴさん» リリリンゴさんコメントありがとうございます!とても励みになります!更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします!! (2021年10月16日 21時) (レス) id: 8442258d5b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月13日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
リリリンゴ - シリーズ最初から読みました!面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2021年10月13日 2時) (レス) @page6 id: 5191a43a7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:早瀬モモコ | 作成日時:2021年10月12日 1時

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