キミとサクマのいない時間《Before A days》

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テーブルの上に消しゴム


それを凝視するアタシ。






威力はアタシもよく知ってるところだし


だからこそ、



どうしたらいいのか分からない







このまま持ってていいものなのかな？


でも、使い方を間違えたら恐ろしい代物だし


え、だとしたらどこに届ける？




警察？



いやいや、絶対信じてもらえないよ……







っていうのを延々繰り返して、また





「うーん……」








唸ってばかり。









正直、サクマからの


最初で最後のプレゼントかもって考えたら




心は弾むんだけど、




でも、これじゃない方が嬉しかった(苦笑)







これじゃ、アタシの手に余るもん









「……、何も残していかなかったもんなぁ」








『ショクムキテイイハン』とかあるもかも知れないけど


いた痕跡がまるでない部屋は



やっぱり寂しくて





サクマの面影を探して、広くもない部屋を

ぐるぐる回ったこともある。









そんなサクマが

１つだけ、しかも大事な仕事道具を置いて帰るのは


ちょっとだけ、不思議というか







「何か、あるのかな……」








改めてマジマジ見てみても



消しゴムは消しゴム






変なところとか全くなくて








「……消したいものを、消せるんだよね」









何気なく、アタシの方を向いた消しゴムに



サクマの顔が浮かんで








「……！！」







自分の手を慌てて押さえた。









アタシは、何を








エアコンは効いてるのに、身体が急に熱くなった。






サクマのこと、忘れようとした？



いや待って、そんなはずない



消しゴムを見たから、サクマのことを思い出しただけ




そんなハズ、絶対にないよ……








そう言い聞かせても、胸の動悸が収まらなくて









「何で、こんなもの……！」








思わず、テーブルに投げつけた消しゴムは


ぽろん、と跳ねて



ケースと中身が離れた。





飛び出した白い消しゴムと白い紙が

テーブルに転がる。






「……ん？」







紙？








小さく折りたたまれた紙に手を伸ばす。









「あ……！！」









癖のついた紙に、癖のある文字。








『Aへ

　だまってかえって、ごめんなちゃい。

　サクマがいなくてもすてきなまいにちをすごすこと！

　やくそくしてね、きっとだよ。

　サクマより』







もう一度、胸が鼓動を打つ。


さっきよりも、ずっと甘く

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