君を守りたい【狗巻棘】 (ページ22)

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「Aちゃんこれとかどう？」

「そ、そんなの着ないよ！相手棘だし！」

「あら、デートに可愛い服を着るのは当り前よ？」

「デートじゃない！」

とかわいらしい服を持ってくるお母さんに言い返す

時を遡り昨日の事、お母さんと出かけていると棘達にばったり出会った

すぐに立ち去ろうとするも叶わず、何故か一緒にお昼を食べた、そこまではいい、そこまではいいけど

「なんで棘と二人で出かけないと行けないの…」

「もう、そんなこと言わないの、折角棘くんが誘ってくれたんだから」

いや、あいつ私がお母さんの頼みは断れないこと知ってて目の前で誘って来たでしょ

ただの策士でしょ、狡いわ

「優太くんもかっこよかったわね」

「特級なんだって」

「そうなの！そうは見えなかったね」

と結構失礼なことを言いながらも嬉しそうに笑い私の髪を結っていくお母さん

あの変な人にあんなことを言われて心配したけど全然大丈夫そう、となれば他の私の大切な人…

「ねぇお母さん」

「なぁに」

「お母さんはなんで呪詛師なんてしてたの？」

と聞くもお母さんは動揺も、手を止めることもなく優しい笑顔のまま答える

「なんでだったかな、始めた理由は忘れちゃったけど、なんでやめたかは覚えてるわよ」

「じゃあ何で辞めたの？」

と聞けばふふと優しい木漏れ日のように笑うお母さん

「大切な人が出来て、守るものが出来たからよ、はい、出来た！」

「ありきたりな…」

「何言ってるの、人生なんてありきたりな事が一番大切だったりするのよ」

「そうかなぁ」

「ほらほら、もうそれは良いから、早く行かないと送れちゃうわよ」

「遅れてもいいよ、元々行きたくないんだから」

と背中をぐいぐい押してくるお母さんに言えばまた怒られる

めんどくさいことになったし棘に会ったらまず最初に殴ろう

「はぁ…行ってきます」

「いってらっしゃい！素直さ忘れずにね！」

と言いながらファイトと言ってくるお母さん

ファイトも何も好きな人とデート行くわけでもないんだから何も頑張ることないし

「Aちゃん」

「はいはい、色々と善処します～」

「楽しんでね」

そう言い笑ったお母さんは、

やっぱり太陽よりも暖かかった