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「……えっ?」
口から出た言葉がこれだった。
多分、普通の人だったらこんなイケメンに話しかけられて、一緒に帰ろ、って言われて手首まで握られてたらキャアキャア言ってるんだと思う。
実際、少女漫画とかでこう言うシチュエーション見たら、きっと私だってドキドキするから。
でも、こんなにも憂鬱なのは、相手がきっと裕太だから。
…裕太のこと嫌い、とか言ってるけど私だって、ほんとは嫌いじゃない。
なんなら好き、いや大好きだと思う。
だって、基本的な性格や、趣味とかも凄い似てるし、誰よりも仲良くなれたから。
でも、ある友達と仲良くすることで周りの人たちから自分に害が及ぶようなことをされるとさ、自分自身がおかしくなりそうになるんだよね。
私だって、裕太カッコいいなぁ、なんて思った時期もきっとあった。
…でも、いろいろ咎められる内に、私、この人と接触しちゃいけないんだって、学んだんだよ。
だから、こうやって裕太も私も守れる方法をとってるのに。
裕太は何故私の嫌がることばかりするんだろう。
こんなことしてたら、私、また友達いなくなっちゃうよ。
でも、この状態を打破するために、
「…やだ、私一人で帰る。」
と抵抗してみる。
でも、今度は裕太が無視する番。
私が話しかけても何も言わずひたすら自分のことをやっている。
「ささっ、A帰るよ。」
そう言って自分の支度が終わったら、私の手首を引いて歩き始めた。
さよなら〜♪みたいなノリノリな声で教室の扉のドアを開いて廊下に出る。
廊下にはたくさんの人があふれていてイケメンに手首を掴まれている私を凝視する人が多く、周りからの視線が少し痛い。
…恐怖、に近い感情が襲ってきてこの場から一刻も早く逃げたいと思った。
それから、階段を降り終わり、下駄箱のところで私には裕太から逃れる絶好のチャンスが訪れる。
それは、裕太と一緒に歩いてたけど、流石に靴を履き替えるときは手を離してもらえるってこと。
そして、女子の靴箱の方が男子の下駄箱よりもドアに近いところに置いてあるってこと。
で、それで沢山の人で靴箱のあたりは溢れているからこれをうまく利用して逃げればいいんだ。
これしかない。
心の中の私はこの作戦を決行することを決めた。
…絶対逃げ切るぞ!!!
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作者名:百花 | 作成日時:2021年2月2日 16時