７ｰ１１,どうかそのままで【途中、ホソク視点】 ページ11
それから明里は、涙を流しながら何度も何度も“ごめん”と謝った。
帰る支度をして玄関に向かうと、女の子が駆け寄ってきて、耳元で小さく“おねーちゃん本当はとっても優しいの。だからね、仲良くしてね。”と囁く。
そのまま“ごはんまだー？”と奥へ走っていった彼女を見て、心の奥がじーんと暖かくなるのを感じた。
どうかこの家族が、ずっと幸せで居られますように。
『ねぇ、ホソクさん。』
明里の家からの帰り道、隣を歩く彼にそう話しかける。
ホソク｢どうした？｣
『お願い事、使ってもいいですか？』
ホソク｢え…………うん、いいよ。｣
『ふふっ、ありがとうございます。
………あの子がお腹いっぱいご飯を食べられる魔法、かけてくれますか？』
ホソク｢……そんな事だと思ったよ。｣
そう言って彼は優しく笑うと、“お安い御用さ”と私の頭をくしゃくしゃ撫でた。
ーーーーーーーーーー
【ホソク視点】
『本当はすごく良い奴なんです。話せばきっと、前みたいに戻れます。』
君は、どんなに自分を苦しめた相手にもそっと手を差し伸べる、優しくて強い子。
『あんたの事、許したわけじゃないけど…
………少し見直したよ。』
そして君は、その人の本質に目を向けて、信じてあげられる子。
そんな君がいつか言っていた言葉。
『大好きな人を忘れてしまうって、すごく残酷なことだと思うんです。』
その言葉にすごく胸が痛んだ。
このまま願いの代償の秘密を知らせずにいても良いんだろうか。
何度もそう考えた。
…でも、弟たちもみんなそうしてきたから。
僕だけが真実を伝えるなんて、ずるいよね。
『あの子がお腹いっぱいご飯を食べられる魔法、かけてくれますか？』
本当に、どこまでも君らしい願い事だ。
それを口にした君の表情に迷いなど一切なくて、むしろとても幸せそうにしている。
君がそんな顔をするなら、僕だって迷わないよ。
｢お安い御用さ｣
僕はそう言っていつものように明るく振る舞う。
僕の心の中が君に悟られないように。
君に悲しい顔を、させないように。
『……ホソクさん、無理してる？』
不意にそんな事を聞いてくる○○。
｢…え？どうして？｣
『なんとなく…いつもの笑顔と違う気がして』
｢ははっ、気のせいだよ｣
『そっか』
僕はそう誤魔化して、○○に手を広げた。
｢ずっとそのままの○○でいてね。｣
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なーさ(プロフ) - Chocoさん» コメントありがとうございます！感動していただけたようで、とても嬉しいです…。温かいお言葉をありがとうございます！今後の作品も応援していただけると嬉しいです！ (2023年4月1日 8時) (
レス) @page49 id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
Choco(プロフ) - こんばんわ、初コメ失礼します！なーささんの作品を読ませてもらい、ホントに恥ずかしいですが泣いてしまいました…。素敵な作品を作って下さりありがとうございます!!なーささんの作品とても大好きです！ (2023年4月1日 1時) (レス) id: 59651d7816 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - あんにょんさんさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです…励みになります(泣)これからも更新頑張りますね！ (2023年2月10日 0時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
あんにょんさん(プロフ) - もう、ほんと、神作品すぎます…！いっそドラマ化してほしいくらいです笑 応援しています！！ (2023年2月9日 15時) (レス) id: 999eb198b5 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます！尊敬だなんて……私にはもったいないお言葉です。(泣)これからもこまめな投稿を心掛けて頑張りますので、よろしくお願いいたします！ (2021年7月13日 23時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なーさ | 作成日時：2021年6月15日 23時
