23 ページ23
夏になるころには、和君も転ぶことはなくなってきて、ボールも投げられるようになった。
それからの二人の遊びはもっぱらボール遊びになった。
公園に行くと翔さんが
「よかったぁ。Aちゃん待ってたよ」
と言って汗だくで手を振ってきて
「和也ー、Aちゃん来たよー」
と和君を呼んでいる。
「Aだけですか？俺は？」
「正直松本どうでもいい。Aちゃんのこと心から待ってた。先週来なかっただろ？今週も来なかったらマジで俺倒れるとこだった」
「すでに疲れてますね(笑)」
「へとへとだよー。和也のボール投げマジエンドレス。あれに付き合えるのはAちゃんだけ。Aちゃん、後は任せた。よろしく」
「わんわー」
とAに抱き着く和君に
「ボール投げ、Aちゃんとしておいで」
とボールを渡した翔さんは、俺と一緒に日陰のベンチに座った。
和君はまだ力が弱いので遠くには投げられないし、下が芝生なのでボールもそれほど転がらない。
でも、四方八方あちこちに投げるので、取る方は目いっぱい走らされる。
その上和君は投げられるけど受けられないので、和君のところまでボールを運んであげないといけない。
そして子供は、なかなか飽きない。
「翔さん、お疲れさまでした」
楽しそうにボールを投げて喜んでる和君を見て、心から言うと
「ホント、疲れた。Aちゃんが女神に見える。女神には感謝しかない」
「・・・Aは俺にとっても女神です」
「ん？」
ペットボトルの水を飲みながら、翔さんがこっちを向く。
「Aだけが俺を無条件で受け入れてくれたんです。Aは俺にとって奇跡なんです。実際Aを飼うようになってからいいことが増えた気がして」
「そっか。まぁ確かに最近のお前はいい感じだもんな。ノってるって感じする」
「ふふ。ありがとうございます」
「女神がリアルな彼女も連れてきてくれるといいな」
「いやぁ、もうAが人間の女の子だったらなぁって最近マジで思うんですよね」
「ははっ。たしかにいい女かも。でも悲しいかな人じゃない」
「はい」
「ま、お前ならそのうちできるよ。いい男だから女の方がほっとかないだろ」
「だといいですけど」
「俺はAちゃんが犬で嬉しいぞ。おかげでこうしてゆっくり休める」
そう言うと立ち上がって
「和也ーお茶飲めー」
と可愛い水筒をブンブン振った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 162人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちな(プロフ) - ayaさん» ayaさん、コメントありがとうございます。とても嬉しいです！期待に沿えるかわかりませんが、がんばりますので、これからもよろしくお願いします。 (2019年4月6日 7時) (
レス) id: 39df0fabf1 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - ちなさん、こんにちは！初コメです。まだ始まったばかりのこのお話ですが、ワクワクしながら読ませて頂きました。私もＪに飼われたい！続きも楽しみにしてますね^^ (2019年4月1日 12時) (レス) id: 09a0cb5a29 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちな | 作成日時：2019年4月1日 0時
