愛を育み ページ25
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樹「で、どうしたの?急に家来いだなんて。」
壱「お前まさか、彼女できたんか!?」
慎「違う、そんなことじゃない!もう大変なんだって!」
帰り道すぐ二人に連絡をして俺の部屋に集まってもらった。学校だとどうしてもAも北ちゃんもいて話すの難しいし。
慎「俺今日合コン行ったじゃん?そしたらいたんだよ。」
樹「いたって、誰が?」
慎「隣のクラスの、安西美咲!」
壱「は?」
樹「それ本当に本人?」
慎「俺もそう思って、安西って他にいる?って聞いたらいないって。」
壱「…なら、本人やろうな。」
樹「彼氏いんのに合コンって、ありえないわ。」
慎「誰にも言ってないからまさか俺が知ってるなんて思わなかったみたいで、彼氏出来たことないとか言って。」
壱「は、最悪なやつやな。」
多分これが北ちゃんじゃなければ、やばいねと苦笑いで話せたと思う。
でも、もう俺達にとって北ちゃんは大事な友達で、その人が傷付いたり辛い思いをするのは、めちゃくちゃしんどい。
樹「北ちゃんにはちゃんと言うんだよね?」
慎「…うん、ちゃんと話す。」
壱「そうせなあかんわな。」
樹「けど本当、びっくりだね。」
慎「本当だよ。北ちゃんに彼女がいるの知った時以上の衝撃だった。しかも、」
_________ ガタッ
急に廊下から聞こえた何かが落ちるような音。不思議に思いながら閉まっている部屋のドアを開けて、俺は固まってしまった。
慎「…っ、A、どうして、」
そこには、ここにいるはずのないAの姿。Aの足元には俺が貸した漫画が乱雑に広がっていて、さっきの音はこれを落とした時の音だと分かった。
『どういう、こと?』
慎「いや、あの…っ、」
『北ちゃんに彼女ってどういうこと?』
樹「A、とりあえずこっち来て、」
『みんな知ってたの?知ってて黙ってたの?…ねえ、っ、まこっちゃん!』
声を荒らげて俺の腕を掴んでそう聞いてくるAを見ていられなくて、なんて言っていいか分からなくて、思わず下を向いてしまった。
何も答えない俺の腕を掴む力が緩み、恐る恐るAの顔を見ると、下唇を噛み目からは涙が溢れている。
『もう、いいっ…!』
壱「おい、A!」
そう言い残して走り出したAを、壱馬が急いで追い掛けて行った。
俺は追い掛けることも出来ずその場に立ち尽くしてしまった。
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作者名:noa | 作成日時:2021年2月22日 17時