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君と僕を ページ14

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翔「それ、痛そうだね。大丈夫?」

「うん、大丈夫。ごめんね、翔吾にまで心配かけちゃって。」

翔「いや、俺は北ちゃんのことなら普通に心配するし、そこはいいんだけどさ。…けど、らしくないなって思って。」

「ね、僕もそう思う。」






四人と別れて同じ方向の翔吾と家路を歩きながら、改めてさっきの自分の行動を思い返していた。


悪口とか、いじめとか、そういうのを許せない質ではあるけど、でもなんであんなにムキになってしまったのか、自分でも分からない。






翔「けど俺、いいなと思ったよ。」

「なにが?」

翔「さっきの北ちゃん。なんか熱いものがこう、込み上げてくる感じ?」

「なんだよ、それ。」

翔「誰かを守るって、こういうことを言うんだろうなーって。」

「守る、か。結局何も出来なかったけどね。」

翔「そうかな。少なくともAちゃんは、嬉しかったと思うよ?」

「…でも、泣かせた。本物の笑顔にしたかったんだけど、泣かせちゃった。」

翔「北ちゃん、さ…なんでAちゃんの為にそこまでしたの?」

「え?」

翔「あ、嫌な意味じゃなくてね!?その、なんかこう、凄く大切な人とかじゃないと中々、」

壱「北人!」

「…壱馬?どうしたの?」






急に名前を叫ばれ、声がした後ろを振り返ると、膝に手をついて息を切らしている壱馬の姿。他の三人の姿はなく、壱馬だけがそこにいた。


こちらに向かって息を整えながら歩いてきた壱馬は、ちょっと話せる?と僕に聞いてきた。






「うん、いいけど。」

翔「…じゃあ、俺は先帰るね!」

「ごめん、翔吾。気を付けてね。」

翔「うん。じゃあー、また明日!」

壱「あ、翔吾!」

翔「ん?」

壱「色々、サンキュ。」






ニカッと笑って親指を立てて見せた翔吾は、そのまま家に向かって走っていった。それにしても、翔吾はさっき何を言いたかったんだろう。






壱「あいつ、可愛いな。」

「でしょ。小さい時のまんまだよ。」

壱「あー、なんか分かるわそれ。」






そんな話をしながら近くのベンチに腰掛け、壱馬がわざわざ買ってくれたお茶を口に含むと、まだほんのり血の味がする。






「話ってなに?」

壱「とりあえず、さっきの、謝りたくてさ。」

「ああ、いいよ全然。本当に壱馬の言う通りだし。」

壱「いやでも、Aの為にしてくれたことやん。ごめんっつーか、ありがとうな。」





壱馬からのありがとうは、僕の中の罪悪感を少し和らげてくれた。




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無情にも追い越してゆく→←流れゆく時は



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設定タグ:吉野北人 , 川村壱馬 , THERAMPAGE   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:noa | 作成日時:2021年2月22日 17時

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