離したくない ページ11
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A、コンビニ行きたいなんて言ってたっけ。
北ちゃんとAが出て行ってから少し考えて樹の方を見ると、グッと親指を立てて見せてきた。
慎｢…ああ！そういうこと！？｣
樹｢え、気付くの遅！｣
慎｢全然分かんなかった。壱馬気付いてた？｣
壱｢そりゃあ気付くやろ。あいつコンビニ行きたいなんて言うてないし。｣
翔｢え？え！？なにが！？どういうこと！？｣
壱｢…やべ。もう一人いたの忘れてた。｣
すっかりいつものモードで話しちゃって、何も知らない翔吾だけが取り残されてる。
人の気持ちを勝手に伝えるのは良くないけど、でも翔吾とももう普段から一緒にいるようになって、悪い子じゃないってのも分かってる。
そう思って樹と壱馬を見ると、二人とも小さく頷いて、これは話してもいいという合図だと受け取った。
慎｢えっとさ、実はね？｣
翔｢もしかして、Aちゃんって北ちゃんのこと、好き、なの？｣
壱｢お前、なんも考えてなさそうに見えて意外と察しええんやな。｣
翔｢え、それ褒めてる？貶してる？｣
樹｢褒めてる。きっと褒めてる。｣
慎｢まあ、そういうこと。本当は俺達が言っていいのとじゃないんだけど…Aには後で話しとく。｣
樹｢それで、まあ北ちゃんと二人にさせてやろうと思って、コンビニ大作戦を決行したわけ。｣
壱｢ネーミングセンスないなー、樹。｣
翔｢そっ、か…。｣
正直に話したはいいけど、そっか、そうなんだ、をブツブツ繰り返す翔吾の様子に、俺達三人の頭にはハテナが浮かぶ。
まさか、もしかして翔吾。
慎｢…ねえ、翔吾まさかAのこと、｣
翔｢違うよ！？好きとかじゃないよ！？｣
樹｢じゃあその反応はなに？｣
翔｢いや、その…。あー、もう。北ちゃんごめん！｣
壱｢は！？何なんお前！｣
翔｢北ちゃんさ、…彼女、いるんだよね。｣
慎｢…うそ、でしょ。｣
北ちゃんに、彼女？そんな、だって俺ちゃんと色々手尽くして調べたじゃん。Aが傷付かないよう、その辺は念入りに調べたのに。
でも、翔吾の様子を見る限り、嘘を吐いているようには到底思えなくて。
壱｢…どういうことやねん、慎。｣
慎｢いや、けどそんな話誰からも、っ！｣
翔｢まこっちゃんが知らなかったのは、仕方ないと思う！多分このこと知ってるの、本人達以外で俺だけだから。｣
樹｢まじかよ…。｣
もう、最悪だ。Aの悲しむ顔だけは、見たくなかったのに。
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作者名：noa | 作成日時：2021年2月22日 17時
