【名前変換オリジナル】先生こーりゃくっ！！

46話 ページ49

「えーっ、リリカちゃんって、深淵先生の幼馴染なの！？」

休み時間中、張り上げられた女子の驚きの声に、私はびくりと身体を固くする。

「う、うん。昔遊んでもらったりしてたよ」
「えー、なんか羨ましいな！少女漫画みたい」

からかわれた彼女は顔を赤くしている。
私は本を読んでいる素振りをしてはいたが、内容は全然頭に入ってこなかった。

幼馴染。
私がどう努力しても手に入れられない枠だ。
私と深淵先生の関係は、教師と生徒という前提からは抜けられない。

羨ましい。
……憎らしい。

初めて湧く醜い感情が、胸を覆い尽くしていく。
その感情に理性を蝕まれそうになりながら、私は席を立った。

「きーちゃん」

心愛が、私を心配してくれていたのか、すぐに声を掛けてくる。

「……もうすぐ授業、始まるよ」

けれど、その気遣いさえも鬱陶しくて、私は眉を寄せて、彼女を見下ろした。

「哀れんでるの？」

口に出した冷たい言葉にびっくりして、またそれを受けた彼女の傷ついたような顔に動揺して、私は教室を出た。

階段の途中で深淵先生とすれ違い、腕を掴まれる。

「何処に行くんだ。もう授業だぞ」

私は先生を睨み上げて、その手を振りほどいた。

「……放っておいてください」

怒られるかと思ったが、予想に反して彼は驚いたように手を離した。
私はそのまま逃げた。
追いかけも、呼び止められもしないことに、安心して、がっかりした。

47話→←45話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す