31．目が離せない。 ページ31
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お祭りの終了時間の30分前、もうきゅうりは売り切れてしまって空のクーラーボックスが山積みになっている。
「後の片づけはいいから、もう遅いし帰って大丈夫だよ！」
相葉さんにそういわれて、申し訳ないと思いながらも、
にのさんからもらった100円と日給を握りしめて会場を出た。
歩いて帰れる距離だったから、会場から出て少ししたところで日給の封筒の中を確認する。
ほとんど丸一日働いたからか、高校生のバイトにしてはいい額。
使う用途もあまりないけど、少し贅沢したくて近くのコンビニに寄って高めのコンビニスイーツを買った。
それからカフェラテも。
もう寝るだけだし、カフェインなんていらないはずなんだけど、なんとなく飲みたくなった。
コンビニを出てストローつきのカフェラテを飲みながら家に向かう。
先生はきっと今頃、にのさんと飲んでるんだろうな。
なんて街灯の明かりを眺めながら、カフェラテを飲んでたら無意識に先生のことが頭に過った。
固くなってしまう前にケーキを食べたいけど。
なんとなく足が進まなくて、住宅街の外壁の隙間で止まって息をつく。
しゃがみこんで、古そうなアスファルトをただぼーっと眺めていた。
生温い夜風の中。近くで足音がして。
人気のない住宅街だし、帰ろうと立ち上がったら、その音は私のすぐ横で止まった。
「こんな時間に何やってんの。」
「せんせ、」
普段着の、Tシャツにパーカー姿の先生が立ってた。
昼間会った時は服装なんてよく見ていなくて、新鮮な先生の姿に目を奪われる。
「あれ、お祭りは？」
「もう売り切ったので早めに......。」
「あれ相葉ちゃんのとこだったんでしょ？ニノがさっき言ってた。」
「はい。あ、先生こそ、にのさんと飲んでたんじゃないんですか？」
「うん。友達帰ったから俺も帰る。」
手を重力に任せてプラプラとさせながら、歩き出した先生。
私の手にあるカフェラテをちらっとみて、一瞬溶けるような顔をして笑った。
「今日はいい休日だね」
「え？」
「１日２回も、偶然会えちゃった。」
柔らかい笑顔と一緒に言われたその言葉は
にのさんの警告なんて吹き飛ぶくらいの破壊力で。
「先生は、私がお気に入りなんですか？」
「きゅうに？笑」
「にのさんがこの間そう言ってて。」
「ん〜、なんかね、目が離せないってかんじ。」
「だってなんか壊れちゃいそうだもん。」
そういって先生は、温かいふわふわの手を私の頭に置いた。
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憂(プロフ) - みやさん» みやさん。コメントありがとうございます。こちらの私情であるにも関わらず応援して頂きまして、本当にありがとうございます。これからも先生と主人公ちゃんをよろしくお願い致します( •̥-•̥ ) (2022年12月1日 9時) (
レス) @page40 id: 39a6e0a5de (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 憂さん、はじめまして せつと申します。人生最大ゴタゴタの中素敵なお話を紡いでくださりありがとうございます。スローでもよきよき♪待ってますので 憂さんのペースでどうぞ。いい子で次のお話待ってますね。 (2022年12月1日 9時) (レス) @page40 id: a88f73c135 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：憂 | 作成日時：2022年11月4日 3時
