12．オキニ。 ページ12
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新学期に入って1週間経った。
桜はもう全部落ちた。
でも先生はやっぱり全然違う。
面倒くさそうで、眠そうで、でも淡々と授業して、淡々と課題を出す。
そして、
それの集荷を淡々と私に任せる。
「A、プリント集めてもってきて。」
「……はい。」
でも、嫌じゃなかった。
準備室に行けば、いつもの先生の表情が見られるから。
あの埃っぽい部屋で、眠たそうな先生が煙草を吸う姿が見られるから。
それから、先生は全部の生徒を、下の名前で呼んだ。
普段が少しクールに見えるからか、同じクラスの女の子たちは"ギャップ"と言って少し喜んでいる。
「ねえ、Aちゃんってさぁ」
「……はい。」
前の席の子が振り返って話しかけてきた。
いかにもキラキラJK
「先生のオキニ？？」
「さぁ……分からないです。パシリやすいと思ってるだけかな。」
なんて言って交わす。
人によっては、私がオキニなら気に入らないとか、媚び売るなとかそういう変な感情を向けられそうで怖かった。
「プリント、もらうね。」
その子からプリントを受け取ると、徐々にみんなが私に集まってきて机の上がプリントだらけになる。
風で飛ばないように筆箱で押さえて、枚数を数える。
私を除いた、29人分。
「……27、28、」
全員分あるのを確認して、出席番号順に並び替えて、
トントン、と机に落として整える。
顔を上げたらもうその間にみんな帰っていなくなっていた。
ガラン、とした教室に私の溜息だけやけに大きく響く。
「なぁに寂しくなってんの」
と後ろから声がした途端、頭にぺしっと何かが当たる。
「いった……」
「ふふ、プリント、集めた？」
さっきとは違った"いつもの"先生の姿で、ドアにも垂れている先生。
私の席は右側の一番後ろだから、すぐ横は教室の後ろドア。
「集めました。」
「お、」
紙の束を受け取った先生は、ペラペラめくりながらすごいすごいと独り言のように言った。
「先生って」
「うん」
「二重人格ですか？」
ぶっと吹き出したように笑って
紙の束を元に戻して持ち直す。
「何言ってんの笑笑」
「だってあまりにもいつもとキャラ違うもん…」
「あれは仕事の俺！これは大野智！」
「なんで変えるんですか？なんで私の前では大野智の方？」
開いていた窓から西日が差して、カーテンが吹き上がる。
それを眩しそうに見つめた先生は
「そんなに俺が気になる？笑」
と少し意地悪に笑った。
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憂(プロフ) - みやさん» みやさん。コメントありがとうございます。こちらの私情であるにも関わらず応援して頂きまして、本当にありがとうございます。これからも先生と主人公ちゃんをよろしくお願い致します( •̥-•̥ ) (2022年12月1日 9時) (
レス) @page40 id: 39a6e0a5de (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 憂さん、はじめまして せつと申します。人生最大ゴタゴタの中素敵なお話を紡いでくださりありがとうございます。スローでもよきよき♪待ってますので 憂さんのペースでどうぞ。いい子で次のお話待ってますね。 (2022年12月1日 9時) (レス) @page40 id: a88f73c135 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：憂 | 作成日時：2022年11月4日 3時
