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全身が鉛みたいに重い・・・
そのまま、
村上さんのお屋敷に暮らし始めた。
もう三ヶ月以上になる。
他の男の人みたいに、
すぐに身体の関係を迫ってきたりもない。
ただ、お家の女中として、
ここに住まわせてもろてるけど、
人出がない時は、
洋品店の、
店番に立つこともある。
亡くなった、お母さん、
章ちゃんのお母さんは、
お洒落な人やったな・・・
戦争が始まる前。
石炭が主流やった頃は、
羽振りも良うて、
お母さんは月に一度、
綺麗な着物を着て、
私と章ちゃんを、
神戸の街に連れて行ってくれた。
百貨店の食堂で、
ライスカレーを食べた後は、
私には髪飾りや素敵な文房具、
章ちゃんには飛行機の模型や、
動物のぬいぐるみを買うてくれたりした。
帰りには、
映画を見たり、
アイスキャンデー食べながら、
章ちゃんに紙芝居を見せてやったり。
あの頃は全てがきらきらしてた。
戻れたらどんなにいいか。
叶うわけもない、夢を時々、見る。
縁側の雑巾掛けをしていたら。
村上さんがお店から戻って来はって。
私にも隣に座りなさいて言う。
「Aさん、
昔からの、
こないな個人商店の時代も、
そろそろ終わりやと思わへんか？」
戦争が終わってから、
頭で考えなあかんような、
難しいことを質問されたのは初めてやった。
黙ってる私に、
村上さんは、
「次は、大きな店を構えて、外国から輸入した、
最先端の洋服を扱う商いを始めるつもりやねん。
他にも、建売の内装の仕事なども、
手広く始めようかと思うてるねんけど」
そう続けはる。
一体、何の話かと思うてたら。
「Aさんはセンスもええし。
べっぴんさんで、店に来はった女の人も、
Aさんの着てる洋服に憧れるはずや。
そこの店長さんを任せても、ええやろか？」
思ってもない言葉が続いて、
呆然としてるしかなかった。
「あの、私は、
学校は女学校を途中で辞めて、
それに・・・」
キャバレーで働いて、
金持ちの男の囲われもんしてた・・・
「過去は関係あらへん。
戦争のせいで、
今までの生きる財産、
全てちゃらにされたんや。
やったら、戦争で失うたもん、
取り返してもバチは当たらんはずやろ？」
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みき(プロフ) - やすくんの君がため。また読みにきちゃいました(//∇//)色んなやすくんをfoolさんの作品で読ませて頂けて幸せです！ (2020年11月20日 21時) (
レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 焼き直し、ありがとうございます。新しい作品として読めました！切なくて、でも2人の愛をすごく感じました！ (2019年11月7日 16時) (レス) id: ad46af1069 (このIDを非表示/違反報告)
亜季(プロフ) - 焼き直しで初めて読んだので、私にはありがたかったです。切ないけどハッピーエンドで良かった！ (2019年10月30日 22時) (レス) id: a8bccc7358 (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - 焼き直し、お疲れ様です(*^^*) 新鮮な気持ちで読ませて頂いてます♪ (2019年10月28日 21時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
ぷーかは年中無休。|´-`)(プロフ) - すばるくんの話、感動で泣いてしまいました…とてもいい作品でした… (2018年3月26日 23時) (レス) id: cb0b6d334f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2017年9月18日 6時
