君と描く物語-番外編-

＃１８ ページ18

千影side

そして、続いてはこの人…

義勇｢…｣

正直、しのぶさんとの仲を知ったのも この間の蜜璃姉ちゃんの結婚式の時が初めてだったから
俺にとってはしのぶさんの恋人と言うより、教師として認識していた時間の方がまだ長くて…

他の義兄達よりも何となく…まだ距離感が掴めないと言うか……

千影｢…あのー…冨岡先生、これ……｣

義勇｢ん…？あぁ…委員の資料か、そこに置いておいてくれ｣

千影｢そこ…とは……｣

委員で頼まれていた資料を届けに体育資料室に来てみたはいいものの…

そこ と言って冨岡先生が視線をやった先は、物で溢れ返った冨岡先生のデスクであろう場所

千影｢えっと…迷惑じゃなければ片付けるの手伝いましょうか…？｣

義勇｢…！いいのか…｣ﾊﾟｧｧ

千影｢…っ｣

断られるかと思ったけど、思いの外 嬉しそうな顔をしてくれた冨岡先生に驚いた

その反応が、何だか素直な子供みたいで…
普段の何を考えているのか分からない雰囲気からは想像がつかない姿に、何だか自然と笑みがこぼれた


…のは、いいけど……

千影｢先生、片付けとか苦手…ですか？｣

義勇｢…っ｣ｷﾞｸｯ

あ…苦手なんだ…

千影｢ここに来てからずっとこんな感じなんですか？｣

義勇｢……いや、一時期は綺麗に保っていたんだ｣

千影｢え、そうなんですか？｣

義勇｢……しのぶがここに在学していた時期は、文句を言いながらも いつも手を貸してくれたんだ｣ｸｽｯ

千影｢…！｣

そう言って幸せそうに笑う冨岡先生は、きっと当時の事を思い返しているのだろう…優しい表情で微笑んで話してくれた

義勇｢胡蝶家の三姉妹とは幼馴染なのだろう？｣

千影｢幼馴染…と言うよりは、良く面倒を見てもらっていたと言う方がしっくり来ますかね

姉達はよくつるんで遊んでましたけど、俺達は その後をついて回ったりとか｣

姉達とは仲は良かったから一緒にいる事も多かったけど、それでもやっぱり性別が違うと好みの遊び方も違って…

姉達がままごとや楽しそうに話してる傍らで、俺達弟組は走り回ったりとかチャンバラしたり
で、怪我した所を姉達が手当してくれたり……懐かしいな

義勇｢ふっ…仲が良かったんだな｣

千影｢はい…いい姉達でしたから｣

そうこう話している内に片付けも済み…

義勇｢話が出来て楽しかった…また頼んでもいいだろうか｣

千影｢はい、俺でよければ｣

初めてこんなに沢山話して分かった事


冨岡先生も、しっかりしたしのぶさんの選んだ良い人だ

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