君と描く物語-番外編-

＃１６ ページ16

天元side

何となく、Aの声が元気なさそうで…

多分…Aを見送ったあの日 俺の家族の話をしてからずっと、何処と無く感じるんだ

-A｢…カナエさんやお姉ちゃん、しのぶさんとか…

姉達の結婚が決まる度に、私…何だか暖かい気持ちになりました
世界中に沢山居る人達の中で、お互いに想い合って結ばれて新しい家族が生まれる

その人達の家族と家族も一つに結ばれる……

私もいつか、天元さんとそうなりたいって…高校時代の時からぼんやりと夢見ていたから｣

天元｢…うん｣

-A｢けど、それは本当にぼんやりで…ふわふわした夢の世界だった物が、今こうして夢の話じゃないと思えるくらい近くにあって

私は姉達のように上手くできるかな…って……｣

…余計な事を話してしまったかなと思った

きっと俺が父親や兄弟の一部と反りが合わないなんて話をしてしまったから、Aに変なプレッシャーと不安を与えてしまったのかもしれない

いつか分かる事だと思ったし、Aにとって甘露寺家の家族の形が普通な様に
俺にとっても俺の家の在り方が普通で…そんなに気にさせてしまうとは思わなかったから話してしまったけど


父親は昔ながらの古風な考えを持っていて、それでいて頑固

男は命懸けで家族を守り家を継ぎ、女はそれを支えて黙って従い家内を守り子を成す
親は子を厳しく育て、子は親に従順であり慕うもの

本当に、典型的な亭主関白だった

そんな父のどこに惚れたのか……母は文句一つ言わずに、いつも穏やかな顔で父の傍に居た

今思えば、あの穏やかな母だったからこそ父の傍に居続けられたのだろうと思う


天元｢A…｣

-A｢でも…知りたくなかった訳じゃないんです｣

天元｢…！｣

ごめんな…そう言おうと口を開いた時、先にAの言葉が耳に届いた

-A｢寧ろ、何で今まで聞かなかったんだろうって思ってました…天元さんの事

と言っても、私今までも十分いっぱいいっぱいで目の前の事しか見えてなくて…いや、目の前の事すら見えてなかった時もあったくらいですし………だから……｣

天元｢…？｣

-A｢また……天元さんの良い時に、教えて欲しいです

子供の頃、天元さんがどんな日々を過ごしていたかとか…ご家族の事とか…そういうの｣

天元｢A………ふっ…わかった、次の帰省の時にでも｣

-A｢…！ありがとうございます｣

そうだった…Aは、俺が思うよりずっと強い奴だったな

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