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廉「A…」
いつもなら連れ出してくれる廉くんだけど
今日は、私の名前をぼそっと呼んだだけで
どこかへ行ってしまった。
紫「俺行ってくる、」
廉「行くな、、」
紫「.....でも、」
聞きたくなかった、
私がこんなに好きでも、
紫耀くんは、
彩ちゃんにまっすぐなんだね、
ぽつんと取り残された私は
ただ一人、
静かに泣くしかなかった。
こんなはずじゃなかったのに…
あれからどれくらい経ったんだろう。
気づいたときには、
たくさんいたはずの人たちは
ほとんど残っていなかった、
というか、
私と廉くんしかいなかった
廉「ごめんな、
俺なんもできひんくて」
「わたしも、
ごめんなさい」
廉「ええんやで、
俺、Aのこと全部わかった気でいたけど
まだまだなんやな、」
「ごめんね、」
うまく言葉が出ない私を
やっと廉くんは
静かに抱きしめてくれた
これ以上優しくされちゃったら、
忘れかけてた、
忘れようとしてた感情
戻ってきちゃう、
「廉くん、
廉くんは、私のこと
どう思ってますか…？」
廉くんの手は
私の頭をゆっくりなぞりながら、
廉「一生を信じたい人」
時が止まった、
というか、
何もかもが止まった気がした
一生だなんて言わないでよ、
終わりが来ちゃうなんて言えない、
私だって認めなくない、
ただ、
思いを伝えたくて来たはずなのに....
廉「俺のことは、？
って聞こうとしたけど、
今日はやめとくな」
今なら廉くんが好きって言っちゃいそうだった
どんどん分からなくなる、
だけど、
どんどん好きになる、
未来に期待しちゃいけない恋なのに。
「紫耀くんって、
彩ちゃんのこと…」
って言いかけたとき、
廉くんはそれを聞かせてくれなかった
廉くんの唇が
私の唇と一瞬だけ重なった
......
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作者名：嶺花 | 作成日時：2020年6月21日 13時
