君日記（ Ⅰ ） (ページ31)

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廉くんの方にかけていくと

なぜか廉くんも走り出す

そのまま

広い砂浜で

たった2つの影が

おいかけっこしていた。

廉「俺の勝ちー！」

無邪気に笑う廉くんをみて

自然と笑顔がこぼれた

廉「そうそれ、

　俺ずっと見たかってん

　 Aの笑っとる顔」

流石に照れた。

うつむいた。

手で顔を覆う私の頭を

ぽんっとして

廉「せっかく買ったんやし

　花火やるか」

そう言いながら

さっきの洞窟にはいった

廉「もうちょっと暗くなってからがええよなー

　でもこの時間にやること

　なかなかなくない？笑」

「うん、そうだね」

廉「はじめてやわ」

その一言にもドキッとしてしまう

そのまま花火に火をつける

あまりにも綺麗だから

夢中になって

1本

また1本と

火をつけていく

あっという間に最後の一本

「廉くん、どうぞ、」

廉「いや、こうやろ」

そういって、

花火を握りしめる私の手を

上からしっかり包み込んで

最後のパチパチした光を

一緒に見た。

花火の光が海水面に

映ってはまた消えてを

繰り返していくうちに

夜になっていた

廉「最後はこれやろ」

そういって線香花火を渡してくれて

私はゆっくり火に近づく

廉「まって、」

廉「負けたら罰ゲームね」

そう言って今までで一番近い距離で座って

あったかい光に

瞳を輝かせた

「あ....」

再び声が重なったとき

私の光が静かに落ちた

廉「俺の勝ちやな」

優しい声でそういう。

「罰ゲームって、？」

廉「それはあとでのお楽しみ」

その言葉が今日を締めくくった