君いる所は雨降る (ページ12)

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秋霖ページ12

「聡…くん」

松島「起きた？」

手にお盆を持っていて、食事が載っている

松島「シゲは保護者に連絡してあるから安心してよ。

裕翔くんは…特にいいよね？」

いつもの聡くんじゃなくて嫌だった

重岡「…森をどうするんや？」

シゲくんは聡くんを睨む

松島「そうだね…１週間以内には燃やすよ」

重岡「中に人がいたらどうするん？」

松島「あそこにいるのは妖怪しかいないんだから問題はない」

シゲくんが縛られたままの手を握る

松島「2人は妖怪が消えたという報告が入り次第、解放するよ。

この部屋からは出られない、ここは5階だし扉の前には見張りがいる。

食事は3食つくし、部屋の外に出たいときは見張りに言ってくれたら出せる」

淡々と説明していく聡くん

「カバン…は？」

俺が出せた言葉はそれだけだった

松島「2人のカバンなら後ろにあるじゃん。

安心して、何も取ってないから」

聡くんは食事を置いたあと、俺たちの手を解放してくれた

松島「それじゃ、食べ終わったら言って。

完食は絶対だからね」

バタンと閉じられたあと、沈黙が部屋を支配する

重岡「…森が燃やされるっちゅうことは、神ちゃんたちはどうなるんや？

また…死んでしまうんか？」

シゲくんは動揺している

「シゲくんって…関西出身なんだね」

重岡「裕翔くん…」

「全然、関西弁で喋らないからさ。

なんか新鮮」

重岡「…神ちゃんとの悲しい思い出を思い出しそうで嫌やったんや。

けど、やっぱ無理やな」

シゲくんは下を向く

とりあえず、完食は絶対と言われたので食事に手をつける

重岡「きゅうりや…」

「苦手？」

重岡「嫌い」

「そうなんだ」

食べ終わったあたりに聡くんがお盆を下げにきた

今度は何も語らずに

窓を開けて下を見ると、かなりの高さがあった

誰かが…助けを呼べばいけるかな？

遠くを見ると森が見えた

「圭人ー‼」

俺は大声で叫ぶ

重岡「裕翔くん⁉」

シゲくんが止めようとするけど、俺は続ける

「圭人ー‼

気づいてー‼」

この気持ちを伝えるまで…圭人たちを死なせるわけにはいかないから‼

重岡「…神ちゃーん‼」

シゲくんも一緒になって叫び出した

そこから何分経っただろう

喉がカラカラになってきた時だった