君いる所は雨降る (ページ1)

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桜雨ページ1

「最悪…」

そう粒やく俺の目の前を落ちていくのは大きな雨粒

今日も今の今まで1人で部活

俺が所属している写真部に部員は俺1人しかいない

あと1人くらいいたらいいんだけど…

そろそろ廃部かな

そしてその結果、1人大粒の雨が降っているところに取り残されている

生憎であるが傘を忘れてしまったのだ

頭に鞄を乗っけて心無しの傘で走り出す

必死に走っているとあるものが見えた

「えっ…？」

それは道路の脇にある大きな森だった

毎日ここは通っていたがこんな大きな森は見たことがない

俺はつい、そこに足を踏み入れた

誰かいたら雨宿りのためと言っておこう

中に入っていくと全然雨なんかは降ってなくて、逆に幻想的な風景が広がっていた

「綺麗…」

こんな風景が自分の近くにあったなんて…

俺は感動してカメラを構える

カシャカシャと写真を何枚も撮っていき、その風景をフィルムに押さえていった

「ヤバ…」

興奮して夢中になっていると後ろから肩を叩かれる

「ん？」

振り返ると俺よりも小さい男の子が1人立っていた

いや…『1人』？

背中には何やら透明な羽根が生えていて、こっちを睨む瞳は綺麗なピンクだ

「君、人間？」

「えっと…」

質問の返答に困る

人間だよね、俺

じゃあ目の前の子は人間じゃないってこと？

「僕は人間じゃない。

そもそもここになんで人間が入ってるの？」

「…雨宿りのため」

「それにしては結構何かしてたよね」

俺はカメラを取られると思って強く握った

「…まぁ、いいや。

今すぐ出てってよ、この森から」

「で、でも」

反論しようとするとキッと睨む

「雨…降ってて…」

「雨？

…止んでるよ」

止んでる？

「僕についてきてよ」

彼はヒラヒラと飛んでいく

俺もついていくと、森の外に出た

雨はいつの間にか止んでいた

「…こんなにすぐに止むんだ」

「…まぁね」

歯切れの悪い答え

「とりあえず、雨は止んだから帰ってよ」

彼は森の中に帰ってく

「待っ、待って‼」

そんな彼を俺は呼び止めた

「何？」

「名前…教えて、妖精さん」

彼は軽くため息をつく

「僕は妖精の侑李」

と一言言って森の中に帰っていった

「侑李…」

名前を呟くとまた雨が降ってきそうな感じがしたからこれまた急いで帰った