【鬼滅の刃】人斬り少女と蜘蛛の鬼 弐

54、散りゆく結末 ページ9

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「この子は関係ない。お前が欲しいのは僕の頸だろ」



そう言って男に血鬼術を使う累。しかし累の血気術の糸は男に届かず刀でいとも容易く斬られてしまう。

このままでは私達二人ともこいつに殺される。
なんとか累だけは…！


そう思った時、懐に何かが入っているのに気づいた。




「…！」



そうだ…！無惨から貰った琵琶……！

懐に入れたまま忘れていた。
たしかこれは無限城に繋がっていると無惨は言っていた。鳴らした本人が無限城に転送されるとも。

これは使える…！これで累を助けられるかもしれない…！

恐らく話し振りからすれば転送されるのは鳴らした本人、つまり一人だけだろう。
上等だ。累さえ助かればそれでいい。



背中の傷はそんなに深くない。まだ動ける。

やるなら今しかない…！


男の意識は今、累に向かってる。
隙を見計らって一気に地面を蹴り上げて半々羽織男を鳩尾目掛けてありったけの力で蹴り飛ばした。




「……ぐっ！」



激しい音をたてて近くの木に激突した男を横目に累の元まで走る。

足元がふらつく。
さっきの蹴りで背中の傷口が更に開いたが関係ない。





「…累…っ」

「A…！Aは怪我してるんだから大人しくしててよ…！」


「……累、私ね、累に出会えて本当に良かった。累と一緒にいれて幸せだった…！」


「…なに、言ってるの………？」



私がいきなりそんなこというもんだから累は困惑した表情でこちらを見る。
そうだよね。いきなりこんなこと言われたら普通になに言ってんだって思うよね。

でも最後だから言わせてほしい。

私はたぶんここで死ぬ。

だから言わせて、





「累…こんな私のこと、愛してくれてありがとう……」



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