42、邂逅 参 ページ44
累side
顔をあげたAの大きな瞳から玻璃のように光る涙が次々と溢れ落ちる。Aが泣いているところなんて初めてみた。いつも飄々としてるAがこんなに取り乱してるのを見るのは初めてだった。
身体を震わせ泣きながら謝るAに自分は本当に馬鹿なことをしたと思い知らされた。
Aはあの時逃げた訳じゃなかったんだ。たぶん他に理由があったのだろう。なのに僕は………
「……僕の方こそ、ごめんね…。僕もあの時Aが逃げたって勘違いして、Aの傷つくことばかり言ってしまって…。僕、A以外の妹なんていらないのに……Aの代わりなんているはずがないのに。怒りに囚われて酷いことばかり言って……本当にごめん…」
「……いいの…っ……累……累…っ…もう置いてかないで……!捨てないで………ずっと一緒に居て……」
縋るように僕の身体に抱きつくAの震える身体を落ち着かせるように背中を撫でる。
「もうどこもいかないよ。ずっとAの側にいる。ずっと一緒にいるよ」
「……ほんとう…?…累もお兄ちゃんみたいにどこか行ったりしない…?」
「……お兄ちゃん…?」
「…うん……私には昔お兄ちゃんがいたの………………」
初めて聞く、Aの過去の話。
僕の知らないAの話。
話終えたAは怯えたように僕の胸に顔を埋めていた。
Aはずっと孤独だったんだろう。
僕と一緒で……
「……A、面をおあげ」
優しく声をかければ恐る恐る顔をあげるA。涙で濡れた綺麗な朱色の瞳と視線が絡む。
「もう泣かないで。僕はAが何者であろうと側を離れたりしないよ。僕は強いから、死んだりなんて絶対しないしAを置いていったりなんてしないよ。だから泣かないで」
涙を指でそっと掬って微笑めば、Aはまたポロポロと涙を流した。
しばらくして泣き疲れたのか僕の胸に頭を預けてAは眠ってしまった。
僕の腕の中で先程とは違って、安心してすやすやと眠っているAに愛しさが込み上げる。
愛しい愛しいA
もう絶対に離さないから
Aの前髪をさらりとかきあげて額に軽く口づけをした。
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たぴ(プロフ) - こなみさん» どストライクなんて…!ありがとうございます(号泣)頑張って描いたんで嬉しいです!応援ありがとうございます…! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - カカオお豆さん» カカオお豆さん…!いつも嬉しい感想ありがとうございます!更新もりもり頑張ります! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こなみ(プロフ) - 夢主ちゃんの絵見たんですが可愛すぎて鼻血でました。ドストライクです!次の話の予告も夢主ちゃんどうなっちゃうのかめっちゃ気になってしにそうです…!陰ながらいつも応援してます!! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bdb7f5122 (このIDを非表示/違反報告)
カカオお豆(プロフ) - 予告の作り方上手くないですか!?めっちゃ気になるんんンンン!!!便新頑張ってください! (2019年10月21日 18時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - らにさん» わわわ嬉しい感想ありがとうございます…!一番好きだなんて嬉しすぎて泣きそうです(泣) (2019年10月19日 12時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぴ | 作成日時:2019年9月1日 11時