【鬼滅の刃】人斬り少女と蜘蛛の鬼

41、邂逅 弍 ページ43

累side



「餓鬼の鬼しかいねえのか。やっぱり俺一人で十分だっ…た……」



そいつが最後まで言い終わる前に切り刻んだ。

恐らく近いうちに鬼殺隊の増援が来るだろう。
まあ何人来たって同じだ。人間が鬼に敵うわけがないのだから。




ふと空を見上げればAと会った時と同じ綺麗な星空が広がっていた。

自然に足があの場所へと向かう。
Aと最初に出会った花畑へ。
居ないと分かっていながらも毎日そこへ足を運んでいた。

もしかしたら…なんて馬鹿げた妄想をしながら。





「…！」



思わず足が止まった。
Aと最初に出会った場所にAが居たからだ。

寝ているのだろうか。花畑の中心の岩に横になって蹲っている。



「A…」




名前を呼んでみても返答がない。寝ているのだろう。
近づいて顔を覗き込む。あんなに会いたかったAがこんなに近くにいる。




「…置いてかないで………」



Aは小さくそう呟いた。夢でも見ているのだろうか。




「……やだ、やだよ…置いてかないで……置いてかないで…一人にしないで……」




うわ言のようにその言葉を繰り返しているAにさすがに様子がおかしいと思った。

顔を真っ青にして苦しそうにしているA。こんなAは初めてみた。

このままだとAが消えてしまう気がして、Aにそっと声をかけた。



「A…A起きて。A」



身体を揺すって名前を呼べばゆっくりとAは瞼を開いた。




「……る、い………？」


「……A…魘されてたけど大丈夫…？それになんでこんなところに……、っ…！」





最後まで言い終わる前にAに抱きしめられた。
Aから抱きしめられることなんて滅多にないから動揺してしまう。
僕が固まっているとAは口を開いた。




「……るい……っ！ごめんなさい、ごめんなさい………私累に酷いこと言っちゃった。あんなこと本当は思ってないの……累にいらないって言われたのがショックで思ってもないこと言っちゃった…。本当にごめんね…ごめんね……」



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