【鬼滅の刃】人斬り少女と蜘蛛の鬼

28、虚無感 ページ29

.



身体の力が抜ける。ガランと刀が床に転がった。

鬼が身体を再生させている。もうすぐ鬼から攻撃がくる。でもそんなこと私にはどうでも良かった。


少年は鬼が身体を完全に回復させる前に鬼の頸を斬った。そして鬼に何か言葉をかけて、鬼は泣きながら消えていった。

そんな光景を抜け殻のようにみていた。




累と離れてから私はおかしい。


人や鬼を斬っても斬っても心が満たされない。

モヤモヤした気分が消えない。累のことばかり考えてしまう。

私はどうしてしまったんだろう。



….累、累、ねえ教えてよ、累……





「君の剣捌きすごかったよ…！鬼殺隊でもなさそうだし、君は一体何者なんだ？」

「………」




少年が笑顔で話しかけてきたが話す気力がないのでボーと少年を見つめる。

私が返事をしないので心配そうにこちらを見る少年を見て、思った。


この少年にも家族がいるのだろうか。




「……ねえ、君には家族っているの？」

「…！」




やっと喋り始めた私に少年はホッと胸を撫で下ろした後、少し悲しそうに話始めた。



「…俺には昔両親と兄弟がいたんだ。今は妹以外鬼に殺されてしまったけど…。でも妹は死んだ家族の分まで幸せにしてやりたいと思ってるんだ」

「…そう、そうなんだ…君はお兄ちゃんなんだね」



.

29、自覚→←27、消えない

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す