【鬼滅の刃】人斬り少女と蜘蛛の鬼

11、兄の面影 ページ11

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「累さん累さんプライバシーて言葉知ってる？」

「なにそれ」



ですよね。乙女の部屋に毎回ノックも声もかけずズカズカ入り込んでくるんだもん。プライバシーなんて言葉知らないですよね！




「ここ私の部屋なんだから入ってくる時声くらいかけてほしいなあ」

「ここ僕の部屋だけど？」

「え？」




まさかここおまえの部屋だったんかい！てっきり私の部屋だと思ったのに。まあ確かにいっつもこいつ入り浸ったってていつまでここにいるんだよ自分の部屋戻れよて思ってたけどまさかの私の部屋じゃなかったパターン。部外者は私の方でしたすいません。

なんて一人で自己完結してると累が私に何か差し出してきた。竹皮に包まれた…なんだこれ？



「なにこれ」

「Aのために町で買ってきたんだよ」



なんだろうと思い竹皮を剥いでみるとそこにはほかほかした白い米。おにぎりだった。おにぎり…！久しぶりに見た米に感動が止まらない。

いっつも那田蜘蛛山産のキノコに那田蜘蛛山産のきのみに那田蜘蛛山産の魚に、もういい加減辛くなってきたところだ。たまにはこいつも気がきくじゃんと思いながらおにぎりを一口、口に含んだ。



「ん〜」



思わず頰が緩む。米てこんなにおいしかったんだ〜と感動していたらいきなり累に頭を撫でられた。




「やっぱりAは笑ってる方が可愛いね」





そう言って優しく微笑む累に思わずおにぎりを食べる手が止まった。累てこんなに優しい顔もできるんだ…。いっつも無表情だったからちょっと意外だな。累の表情筋は既に死んでると思ってたのに。そう思ったのと同時に死んだ兄のことを思い出す。私が笑うと兄はよく頭をなでてくれた。


少しだけ、少しだけ累が本当に自分の兄みたいだなと思ってしまった。


こんなこと思うなんてたぶん疲れてるんだな。今日は早く寝よう。さっきの考えを打ち消すように無理やりおにぎりを頬張った。

しかし案の定喉に詰まり呆れた累に介抱されるのだった。


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