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9話 ページ9

部屋に帰りつくと、心を許してくれたと思った梅ちゃんに警戒心が生まれていた。
妓夫太郎くんの目も暗いままだった。2人だけにしたのは良くなかったかな。しかしデリバリーは高いからしたくない。
気付かないふりをして、キッチンに向かう。

「テレビとかつけて良かったのに」

そういうが、何も返ってこなかった。こうも分かりやすいと逆に気まずいなぁ。

「夜ご飯作るから、待っててね」

気まずさからテレビをつけて、ニュースを流す。
私の料理の音とニュースキャスターの声が部屋に響いていた。



「はい、どうぞ」

テーブルにご飯とハンバーグを並べる。
インスタントの味噌汁をいれて、同じく並べ、買ってきたフォークたちを洗って、置く。
警戒はしたままだが、ご飯は食べるようで私がテーブルから離れると近づいてきて、食べだした。
フォークとスプーンの使い方はお風呂に入る前に教えたから使えているようだ。
何でか警戒心が強い状態なので私は立ったままご飯を食べることにした。ワンルームだから視界から消えてあげることは出来ないんだ。ごめんよ。
しかしどうして急に警戒心があがったのだろうか。
買い物に行った時間はたしかに思ったより長かったが、そんな事で怒るような感じもしないし、テレビはつけていた様子もないからなにか『鬼滅の刃』についての情報を知ったとも思えない。漫画は無いし。
ちらりと目線を向ければ、梅ちゃんの目はキラキラしてご飯を食べていた。
口いっぱいに頬張って食べてる姿は可愛い。妓夫太郎くんも遠慮がちだが、大きな口で食べてるし、ハンバーグはお気に召したようだ。
ということは警戒しているのはわたし、ということになる。
視線をハンバーグに戻す。考え事をしているせいで、やっと3分の1食べ終わったとこだった。
明日も休みだが、そのあとは仕事だし、私の職場はまあまあブラック寄りなので帰りは遅くなる。
土日祝日休みだが、残業は余裕で規定を越える。
このままでは心の溝は深まるばかりだ。

そうして、なにも変わらず時間は過ぎていった。

食器を洗って、お風呂は夕方に入ったから明日でいいや、といつも見ているドラマをみる。
2人は最初の頃のように壁際に座っていた。

「2人はベッドで寝なね」

それだけいって、常夜灯に切り替えて床に横になる。
携帯の充電して、目を閉じる。2人の気配は動かない。
2人が気になって寝れないまま、時間を確認すれば夜中だった。
2人は壁際に寄り添って目を閉じていた。

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作者名:めろん | 作成日時:2024年3月19日 3時

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