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3話 ページ3

目を覚ましてもベッドの上に子供はいた。あれは夢でもなく、酒による幻覚でもなかった。寝顔は天使だな、と思えるほど可愛かった。
ゆっくりと起き上がって、体を伸ばす。布団もないのに床で寝たことで体はバキバキだ。朝ごはんは食べない派だが、あの細い体をみると何か食べさせてあげない行けない気がする。冷蔵庫をあけるも、飲み会なのをいい事に買い物をサボったのでなにもなかった。子供を置いて買い物に行く訳にもいかないし、とりあえず目玉焼きでも作るか。

「なにやってんだぁ?」

後ろからした声にびっくりすれば、かなり離れたところで警戒したように妓夫太郎くんが立っていた。

「ご飯だよー。私は食べないけど、あなた達はお腹すいてるでしょ」

冷凍庫のお米をレンジにいれて、温める。インスタントの味噌汁にお湯を注ぐ。1人用の小さな机に2人分のご飯を用意する。

「おこめ……」
「こんな高価なもの食わして俺らに何させるつもりだぁ?」

警戒している妓夫太郎くんの後ろでは目を輝かせた堕姫ちゃんがいる。お腹を空かせているのだろう。歴史に詳しくないが、昔はお米も味噌も高価だと聞いたし、彼らにとっては怪しさしかないだろう。

「いらない?」
「い、いらねぇ。お前みたいなやつから施しはうけねぇ」

その言葉に堕姫ちゃんもハッとして首を縦に振る。
どんなに威嚇しようと君は子供なんだぞ、と私が立ち上がれば体を跳ねさせた。

「そんな事いうんだ」

1歩ずつ近づく。後ずさりする2人の後ろは既に壁。堕姫ちゃんを守ろうとする妓夫太郎くんにニコリと笑いかける。大丈夫、今のターゲット君だから。
妓夫太郎くんを持ち上げれば、堕姫ちゃんの手がするりと離れる。

「お兄ちゃん!!」
「お前!離せ!!俺をどうする気だ!!」

痛い痛い。そんな全力で殴るな。堕姫ちゃんも足にしがみつくな。妓夫太郎くんを連れてけば必然的に堕姫ちゃんも連れてけるとは思ったが、思ったより過激な2人だった。
テーブルまでの距離はさほどないが、このまま机に近づけばひっくり返るのは目に見えている。

「離して!!お兄ちゃんつれてくなら私を連れてって!」
「馬鹿梅!!お前は大人しくしてろ!」

2人とも大人しくしてくれ。
休みの朝からこんなことになる何て思ってもみなかった。
私の足に噛み付く堕姫ちゃんともがき暴れる妓夫太郎くんに頭が痛くなった。

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作者名:めろん | 作成日時:2024年3月19日 3時

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