1話 ページ1
※元々短編にあったやつを移動させてます。
上司から鬼のようにお酒を注がれ、それでも強い意志で1人で帰宅している今。睡魔と戦いながら雨の中を歩いていた。
脳が揺れているようなぼんやりとした状態でマンションへの道のりを歩く。
しばらくすると目の前に塊がみえる。近付くにつれてそれが人型であることに気づき、更には子供であることが分かった。家出か躾という理由で追い出されたのか、その子供は雨の中倒れていた。
これは関わらない方がいい、と通り過ぎたが、マンションの前でぼんやりとした頭のくせに良心が傷んだのか部屋に荷物を置いて倒れていた子供たちを1人ずつ部屋に連れていった。
ひんやりと冷たい体に死んでいるのでは?と思うが息はしているようだった。
水を飲み、少しずつ冷静になった頭で、とりあえず子供たちの服を脱がし、バスタオルで拭きあげ、確実に大きい私の服をとりあえず着せて、布団にくるむ。
今どき着物を、しかもこんなボロい服を着せるなんてむしろ虐待してるのでは、と思うがこの辺は単身用マンションが多いのに一体どこの子供なのだろうか、と頭を捻る。
この階で子供は見た事ないが、そもそもマンションの子供じゃないかもしれないし、と思いながら風呂に向かう。
「(でもどこかでみたことあるような気がする……)」
どこだったか、と思いながらも思い浮かばず、湯船に体を浸け温めていく。子供のことを警察にいうか、または両親を探した方がいいのか、そんなことを考えていると、部屋の方から大きな物音が聞こえ、慌てて風呂からでる。
着替えて部屋に迎えば、女の子を守るように立つ男の子がこちらを睨みつけていた。
「お前誰だ」
人を信用出来ていない目をしている。後ろの女の子もこちらを睨むが、不安に瞳が揺れているのがわかる。
膝をつき同じ目線になる。あえて近くにいかず、できるだけ優しい声色で笑いかける。
「貴方たち道で倒れてたんだよ。家出したのかな?お母さんたちが心配するよ?」
「はぁ?俺たちに母親なんていねぇ」
そうよ!と後ろから声を上げる女の子に男の子は静かにしろ、梅と声をかけた。その時ふと頭の中で最近見たアニメのワンシーンが思い浮かんだ。
泣いて離れないという女の子をおんぶして、炎の中に消える男の子
そう。たしかにあの2人はこんな見た目をしていた気がする。
「嘘でしょ……」
その言葉はやけに小さく掠れていた。
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作者名:めろん | 作成日時:2024年3月19日 3時