鬼の瞳隠して人の瞳隠さず

拾肆話 ページ15

...A視点...



し「さぁ冨岡さん、どいてくださいね。Aさんも」





しのぶさんの刀は私たちに向けられていた






どうするか...



このままでは鬼の少女が殺されてしまう





冨岡さんは何か策があるのだろうか？





冨「俺は嫌われてない」





『...?』




...冨岡さんがやっと喋ったかと思えば...



少年も困惑している







し「あぁそれ...すいません。嫌われている自覚が無かったんですね。余計なことを言ってしまって申し訳ないです」





冨岡さんは図星だったのかピタリと止まった





『...冨岡さん...』




冨岡さんは何も言い返さなかった




し「坊や」

？「はいっ！！」




するとしのぶさんが少女に向けて声をかけた





し「坊やが庇っているのは鬼ですよ。危ないですから離れてください」





しのぶさんは口元に手を添えてそう言った







？「ちっ...！！違います！いや...違わないけど...あの！妹なんです！俺の妹で...それで！！」






どうやら鬼の少女は彼の妹らしい









し「まぁ...そうなのですか。可哀想に...では＿＿...





苦しまないよう優しい毒で殺してあげましょうね」






しのぶさんは優しく微笑みながら刀を構えていた





冨「動けるか」

？「！！」






その時、やっと冨岡さんが口を開いた






冨「動けなくても根性で動け。妹を連れて逃げろ」





？「！！冨岡さん...すいません！ありがとうございます！！」







少年は冨岡さんにそう言うと妹を抱えて走り出した






？「貴女も！！ありがとうございます！」





少年は最後に私にも感謝を述べて森の奥へと消えていった







礼儀正しい子...









し「これ、隊律違反なのでは？」





しのぶさんが笑顔でそういった






「『...」』








私たちは静かにお互いを見つめあった




冨「藤鬼」


『何ですか』





冨岡さんは私の方に体を向けた







冨「彼奴を頼む」





彼奴とは先程のあの少年のことだろうか






『わかりました』







私は少年が向かった方へ走り出した






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大正コソコソ噂話

Aは好物である金玉糖(こんぎょくとう)をいつも巾着に入れて持ち歩いています。いきなり懐から取り出して食べだすらしいですよ。

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