102 形勢逆転 ページ9
妓夫太郎の血鬼術が放たれ
炭治郎は押し戻される
それでも喰らいつこうと刃を振るう
「このガキィィィ〜ッ」
妓夫太郎の咆哮
妓夫太郎の刃は炭治郎よりも速い
そして 鎌が炭治郎の首に振り抜かれた瞬間
ガキィィン と音を立てて止められる
そこには右手で刀を持ち
もう一振の刀を口に咥えた宇髄がいた
「…！！」「！？」
炭治郎も妓夫太郎も双方が驚愕する
そして爆音と共に血鎌が爆ぜる
妓夫太郎は理解する
宇髄は心臓を故意に止めていたのだと
「【譜面】が完成した！！！
勝ちに行くぞォオ！！！」
宇髄のあげる声に禰夜は呆れたように口を開く
『遅すぎ、なんですよ
宇髄さんの譜面作りは！』
満身創痍
限界を迎えている禰夜
だがしかし その口角は上がっている
宇髄の言う【譜面】とは
宇髄独自の戦闘計算式である
分析に時間がかかるものの
敵の攻撃動作の律動を読み音に変換する
癖や視覚もわかる
唄に合いの手を入れるが如く
音の隙間を攻撃すれば敵に打撃を与えられる が
禰夜の技で止血やある程度の治癒はできても
離れた体を咄嗟には繋げられない
その上毒の解毒はできないのだ
毒の回った体では敵の攻撃を捌くのが限界
宇髄では頚は狙えない
そして
『さあ 形勢逆転と行こうか』
心底楽しそうに笑う
白藍色に輝く瞳と風に靡く髪
その姿が妓夫太郎の記憶に触れる
とてつもなく懐かしく感じていた
だがそれは違うと妓夫太郎は思う
これは"鬼舞辻無惨の記憶"だと
その姿が記憶を揺さぶった
だが 禰夜も笑ってはいるもののその姿はボロボロ
瓦礫に押しつぶされ額からは血が流れ
至る所から出血している
その上折れている骨も増えただろう
手はもう既に肘あたりまで凍りついている
禰夜から漏れる息は凍りつくように冷たい
肺が凍りついているのではないかと思うほどに
今この状況で
頚をやらなければならないのは炭治郎だった
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作者名：癒姫 | 作成日時：2019年8月24日 12時
