6 不思議な黒と宍 ページ7
「ねぇ 起きて」
そんな声に起こされた
優しい匂いが二つ
目を開ければ 女の子と男の子が立っていた
「わ 起きた よかったぁ」
『だれ…』
「? 私は真菰 こっちは錆兎 あなたは?」
そう言われて私はゆっくり起き上がった
履いていた靴はいつ脱げたのかボロボロで
足の皮が剥けて 血だらけで
着物は所々破れていて
気づけば頰からも血が垂れていた
『わたし…は 禰夜』
刀…
二人も刀を持っている
『その…刀…』
あの人が持っていたのと同じ匂い
『君たちは 鬼を狩るの…?』
黒髪の少女 真菰 と 珍しい髪色の 錆兎は
顔を見合わせて困ったように笑っていた
錆兎はお面で顔は見えなかったけれど
きっと同じ反応
「そうだよ」
でもどこか二人からは何かの匂いが足りないんだ
『私に鬼のことを教えて』
そうして 不思議な少女と少年に
私はたくさんのことを教えてもらった
鬼を狩る 鬼殺隊というものがあること
それになるためには最終選別で
生き残らなければならないこと
二人の恩師の鱗滝さんのこと
けれど私はその人には会いに行かなかった
だって 近くに 炭治郎の匂いがしたから
それに どうしてかな
禰豆子の匂いも微かにしたんだ
炭治郎に合わせる顔なんてない
真菰も錆兎も 私に鱗滝さんに教えてもらうように
言ったけれど
どうしてもそれはできなかった
だから一人でひたすら鍛錬した
自分なりに
あの呼吸は 全集中の呼吸というらしい
私は自然に覚えていて
その状態でずっと走り続けていたからか
常に保つこともすぐにできるようになった
そして なぜか頭の中に響く声から
たくさんの呼吸があることがわかった
あの正体は未だによくわからないけれど
その声にたくさん助けられた
呼吸の原点が 日の呼吸 だということも
私の血に染み付いている誰かの記憶
そのおかげで勝手に体がすぐに覚えていく
少しコツを掴めばすぐにできるようになった
そして 刀の振り方は
真菰や錆兎が教えてくれた
その期間
約一年ほどだった
私は血が煮えたぎったような感覚を体に叩き込んだ
体力も今まで以上につけて
身体能力も上がった
ここまで来れば 少しは鬼殺隊として
通用するのではないかと思った頃だった
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作者名:癒姫 | 作成日時:2019年8月2日 3時