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伊黒「肆拾玖。」 ページ8

桜田「(お腹すいた。)」


汽車に乗って数時間。

・・・・私が実家から逃げてきた距離。

あの日からまたいでいない桜田家の敷居。

汽車から空を見上げる。

相変わらず真っ青で。

それなりに涼しい車内、

横には気持ちのよさそうに寝る伊黒が居ることが、

今から私の恐がっていた場所にいくことの恐怖を忘れさせてくれた。




本当はただ、強がりたかっただけかもしれない。

自分の恐怖に向き合うことで

「自分は強くなった」と錯覚したかったのかもしれない。

そう考えることで、自分の弱さが自分の中で大きくなっていく。

嫌いになっていく。

「強者」の皮を被って、ほんとはただの「弱者」。

・・・「強者」って何だろう。

強いこと、守れること、助けられること、信じられること、愛せること?

どれもこれも似たり寄ったり、

本物なんてあるのかすらわからなくて、

「曖昧」の波に溺れそう。


伊黒『お前は弱い、だから認められなかった。』

叔父『女にできることなどない。』

父『強者で居続けろ、でなければお前に存在価値はない。』




違う違う違う違う、全部違う。



私は強い、好きで女に生まれたわけじゃない、



存在価値なんて、




 









人間には、元から無い物なのだから。






 








―――ぉぃ、



五月蠅いこれ以上何も言わないで。



―――ぉい



お願いだから。



―――おい!



これ以上私を、





―――おい!!





 




――――――「弱者」に、しないで。









伊黒「―――――――おい!!!桜田!!起きろ!!!」

桜田「!!!」


桜田「・・・・私寝てたんだ・・・。」


じゃあ今のは夢か・・・。


随分と意地の悪い夢だったなぁ・・・。


伊黒「お前の言っていた場所にもうすぐ着く。降りる準備をしろ。」

桜田「・・・うん。・・有難う・・・。」

気分が悪い、変な夢を見たせいだ。

すると伊黒が少し心配そうに言う。

伊黒「随分とうなされていた。悪い夢でも見たのか。」

桜田「・・・・うん、吐き気がする程嫌な夢だった。」

伊黒があんな事を言うはずがない。


桜田「・・・・ねぇ伊黒、私さぁ、弱いかなぁ・・・。」

伊黒に私は問い掛ける。


伊黒「お前は弱くはない。・・・・だが幼い。」







伊黒「『恐怖』を『恐怖』としか見ていない。」







桜田「・・・!!」




桜田「・・・・よく、分かってらっしゃる・・・。」





私は苦笑いをして天を見上げた。






 

桜田「伍拾!」→←桜田「肆拾捌〜。」



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- 桔梗さん» ひゃっふぅ。(^-^ (2017年10月25日 22時) (レス) id: bc9c1dd6c2 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - お疲れ様 (2017年10月21日 17時) (レス) id: 99f9ade5b5 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ヨモギさん» 有難うございます!(●´ω`●) (2017年10月15日 23時) (レス) id: c21cec3906 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ(プロフ) - 仁さん» 1章も昼間見てました!良かったですね、 (2017年10月15日 23時) (レス) id: 96e96e60af (このIDを非表示/違反報告)
- ヨモギさん» 読みましたよ〜。憧れの仁さんて 笑 有難う嬉しかったです(^-^) (2017年10月15日 21時) (レス) id: bc9c1dd6c2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年8月21日 20時

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