蛇柱と天柱弐 (ページ41)

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伊黒「奈々拾陸・・です！」ページ41

桜田「ここだよ。」

伊黒「わぁ・・！綺麗ですね！」

うん、それは保証する。

まぁあの後来てみたはいいものの花畑と川を眺めるほか

何をすればいいのかが全く分からないのである。

私は小芭内の顔をチラチラと覗く。

「何か思い出せないだろうか」と。

伊黒「・・・川が、全く濁っていないんですね。」

桜田「うん。とても綺麗なんだよ。えらく透明で。」

桜田「日があたるたびにキラキラしてさ、なんか懐かしいの。」

伊黒「・・僕はなんだか頬が熱いです・・。」

伊黒「隠れたくなるような・・・。」

桜田「っ！？どんな感情なのそれ！！あはははっ！！」

桜田「って・・・・え？」

桜田「お、おおおおお思い出してる・・・！！！？？」

どんな感情なのかさっぱりわからないけど何かしらの

思い出が蘇ってきているということ！？

桜田「が、頑張って！他には何か思い出せない！？」

伊黒「うぅ・・！！ごめんなさい今のところはそれぐらいしか・・！！」

桜田「・・そっかぁ～・・。」

残念・・・。

―――ぽしゃんっ！

桜田・伊黒「！？」

川から聞こえた本当に些細な音。

柱が耳をすませば聞こえるような小さな音。

記憶喪失といえどこんな些細な音に反応する小芭内は

「流石」と言わざるを得ない。

伊黒「ッ！」

小芭内が私をおいて走って川へ向かう。

鬼気迫る表情をして。

まるで「自分が行かねば」とでも言いたげな表情。

何なんだろうか。

桜田「ちょ、待ってよ！！」

私も追いかける。

川には小さな少女が溺れていた。

小芭内が川に飛び込み少女に手を伸ばす。

！！！！！

待って待って待って待って！！！

　

桜田「行くな小芭内！！！！」

　

少女は、鬼だった。